朝鮮民主主義人民共和国
+  中国国境地帯編

旅行第5日目 その1

丹東の朝

5日目。朝6時半には起きる。北朝鮮滞在中は、朝自由に散歩するなんてことはあり得なかった。せっかく中国に出国できたのだから、今日ぐらいは散歩したい、ということでこんな早い時間の起床となった。

6:45にホテル出発。ひとまず丹東駅に向かう。今日はいい天気だが、逆に寒い。気温はだいたい-5℃くらい。きのうの雨であちこちできた水たまりは全部凍っている。足下に注意が必要である。

さすがに国境の町らしく、街中にはハングルの文字もときどき見かけた。ホテルから駅まで行く途中には、税関らしき建物もあった。

そして何といっても、街に生活感がある。それに、今までハングルばかりの中にいたから、「漢字がある」ということだけで日本人としてはホッとする。



街に生活感があってホッとする
 

駅前を歩いた後、しばらく市内を歩き回った。今日は日曜であるが、すでにこんな早朝から街はにぎわっている。さすが中国である。鴨緑江沿いの公園では、太極拳をしている集団もいた。このあたりも中国らしい。



鴨緑江沿いの道
 

8時頃ホテルに戻ってきて朝食。2階のレストランでのバイキングである。メニュー的には「洋中折衷」とでも言おうか。ここで朝からてんでんバラバラに出かけていた一行4人が偶然揃った。話を聞くとみんな「個人旅行主義者」のようで、こういう「自由の国」に来たとたん個人行動を始める。

 

鴨緑江大橋

朝9時、ホテルをチェックアウト。ロビーで、閻さんが待っていた。

ホテルがあるのは、きのう新義州から丹東に来るまでに渡った鴨緑江の鉄橋のすぐ横。部屋からは、対岸の新義州の町が見えた。ふつうの旅行者は北朝鮮に行かないから、「部屋から北朝鮮が見える」というのが売りのホテルである。



ホテルの部屋からの景色
2本ある鉄橋のうち、左側が現在も使われている。
向こう岸が北朝鮮の新義州。
 

この地点には、満州時代2本の鉄橋がかかっていた。そのうちの1本は戦争末期にB29の襲撃を受けて真ん中から朝鮮寄りが壊され、残った1本が現在の鉄道にも使われている鉄橋である。で、その壊された方は残った部分が修復されて観光スポットとなっている。

ちょうど川の真ん中、国境のあたりまで橋があって、そこまで歩いていける。そのとったん付近は襲撃されて壊された跡がわざと残されていた。その地点に立って両岸を見てみると、中国側は色遣いも派手な看板がいろいろあるのに対し、北朝鮮側はただ四角い建物と工場が並んでいるだけで「灰色の街」と言わざるを得ない光景であった。



川の中央にて
左側が北朝鮮、右側が中国。
 

橋のたもと(つまりホテルの前)に戻ってきた頃、ちょうど鉄橋を平壌行きの国際列車が通っていった。今日は3両編成であった。

 

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