朝鮮民主主義人民共和国
+  中国国境地帯編

旅行第5日目 その3

丹東市内その2

そこから駅横の「中国国際旅行社」と書かれた建物へ。マイクロバスはここまで。香港のアクション映画に出て来そうな容姿の運転手さんともここまでである。この建物、閻さんの勤める会社とは違うのだが、ここの1階で荷物を預けることになる。

ここからは徒歩による市内観光である。といっても、特に名所というのはなくて、ただ閻さんの案内で市内をブラブラ歩くだけ。でも、そういうのが一番楽しいのである。



丹東市の中心街
 

レコード屋に行ったり、大型書店をのぞいたりする。特にレコード屋については、表からはわからないところにあるかなり品揃えの多い店で、1人では見つけられないような店であった。それから大型スーパーのようなところにも行く。これもお国柄を反映して、見ていておもしろいものが並んでいた。

最後に路線バスに乗って駅前まで戻ってくる。戻ってきたのが夕方5時頃で、さっき荷物を預けた建物の1階にある食堂のようなところで休憩。そのまま夕食となる。これも、閻さんが「どこかに食べに行きますか、それともここで済ませますか」ということで、面倒だからここで食べることになったもので、今日の予定はあまり決まっていなかったようである。

それにしても今日の夕めしは猛烈に量が多かった。4人でかかって、半分以上残した。閻さんがちょっと頼みすぎたのか、もともと中国人はそれくらい食べるのかはよくわからない。途中から閻さんはとなりのテーブルで知り合いの人と雑談していた。

 

大連への夜行列車

今晩は丹東から夜行列車に乗って大連に向かう。中国の夜行列車というのもこれまた楽しみである。その列車は19:35発で、19:10頃駅の待合室に向かう。
待合室、というか駅の入口は軟座車と硬座車、簡単に言えば1等車用と2等車用に分かれていて、今回は安い方の硬座車。平壌からここまでは1等車だったから、硬座車は望むところである。

X線装置に荷物を通してから待合室に入る。大勢の人たちでにぎわっている。待つほどもなく改札が始まる。



硬座車専用の改札口
 

列車は機関車の後ろに客車12両+荷物車という編成で、我々4人が乗る車両は一番後ろの12号車。丹東~大連間はバスで7時間ぐらい(列車だとすごく大回りなので10時間くらいかかる)で、多くの人はバスで行くらしいのだが、それでもこの列車は満席のようである。

車内は日本の3段式B寝台と似た構造で、3段ベッドが20列並んでいる。車内はいちおう禁煙のようで、車両両端にあるデッキが喫煙スペースのようである。デッキ近くにはトイレ1つと、洗面台が3つある。洗面台があるところが、ロシアの車両と違うところである。

定刻通り、19:35に出発。閻さんと手を振って別れる。出発した時点ではもちろん全員起きており、通路にも人がうじゃうじゃいて居場所に困る。



車内の様子。
発車直後だったので客がうじゃうじゃ。
 

この列車では、車掌の車内アナウンスがある。考えてみれば、海外で乗った長距離列車で車内アナウンスがあったのは、アメリカのアムトラック以来2度目である。

しばらくして車掌(おばちゃん)がやって来る。切符が回収され、代わりに寝台の番号が書かれた金属製の板状のものが渡される。そして降りる前になると、これと引き替えに切符が返ってくるのである。「これをなくすと大変だよ」と出発前閻さんも言っていた。

車掌と入れ替わるように車内販売のワゴンがやってきた。何の気なしにミネラルウォーターを買ったら、大連の「旅服食品加工庁」製造のもので、鉄道のロゴが入っていた。

今回はO氏とI氏、そして私とF氏の寝台が少し離れていて、早々と寝てしまったF氏を残してO氏とI氏のところへ行き雑談していた。

発車して30分もすると、だんだんみんな自分の寝台に引きこもるようになった。といっても各寝台にはカーテンはない。見たところ、通路側に足を向ける人と頭を向ける人が両方いる。
そのうち通路にあるイスが空いたので、そこに座って外を眺めるようになった。
それにしても窓が猛烈に汚れている。ウエットティッシュを4枚も真っ黒にして、ようやくきれいになる。窓際には、誰かのお茶入りポットが置いてあった。基本的に列車内ではお湯は使い放題で、それを使ってお茶を飲んだりする道具は持参するのが通常のようである。

21時頃、車掌がやってきてカーテンを閉めてまわる。その際、窓際に置いてあるものはカーテンの内側に隠される。いちおう盗難防止なのだろう。その直後、消灯。日本のように枕元灯などないので、本当にやることがなく、しょうがないので寝てしまう。

 

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