大韓民国ソウルとその近郊編

旅行第2日目 その3

京仁(キョンイン)電鉄線

地下鉄梨大駅からホテルのある市庁駅までは地下鉄で3駅なので、いったんホテルに戻り、時間調整をかねて1時間ほど休憩。ソウル郊外線乗車のせいで、朝が早かった代わりに時間的に余裕がある。

今日は、これからソウルの近郊、仁川(インチョン)に野球を見に行くことにしている。ということで、4年ぶりの京仁電鉄線乗車となる。前回乗車のとき、京仁線は全線で複々線化の工事をしていた。現在の時刻表を見てみると、そのうち一部区間が完成して快速電車(現地では「直通」と書いてあったので以降「直通」と言います)が走っているようである。その試乗もしてみようと思っている。

14:45、再びホテルを出発。京仁電鉄線、京釜電鉄線両方と直通している地下鉄1号線の市庁駅へ。最初にやって来たのは京釜電鉄線直通の水原(スウォン)行きであったが、かまわず乗る。
市庁駅の次のソウル地下駅を出ると国鉄の電鉄線になり、地上に出る。昨日も乗った区間である。
地上に出たところでデットセクションがある。今朝乗った、地下鉄1号線の反対側、国鉄京元電鉄線に入ったところにもデットセクションがあった。
地下鉄と国鉄で電圧が違うらしい。これだけ本数が多い(昼間でも3分おきぐらいで走っている)路線だし、地下鉄1号線は短い路線なのだから、「電圧を合わせればよいのに」と思ってしまう。

地上に出て2つ目、龍山(ロンサン)駅で降りる。
今朝乗った、京元電鉄線の始発駅が実はここである。しかし、ここから地下鉄1号線と合流する地点までの区間は支線のような扱いで、本数も少ない。議政府方面からやって来た電車はみんな地下鉄に乗り入れてしまう。

で、その京元電鉄線と1面のホームを共用する形で、京仁「直通」線のホームがある。「直通」電車はこの駅始発なのである。ソウル駅方面からやってくる電車とはホームが別で、接続とかはあんまり考えられていない。
だいたい、「直通」電車の存在は、入手した韓国国鉄の時刻表を見ていて、なんかそれらしき電車の時刻が書いてあるなあ、と気づいたのであって、
こちらではそんな案内は何にもない
駅の時刻表を見ると、朝夕のラッシュ時を除くと1時間に2本くらいしか電車がない。一方、なぜか土曜日だけ12分間隔である。次の電車は15:10発で、すでに電車が入線して発車を待っていた。車内保温(外はものすごく暑い)のため、各車両扉が1つづつだけ開いている。



午前中乗った列車とデザインが似ていますが、あちらはディーゼルカー。こちらは電車。
 



赤い文字は「チクトン」と読みまして、漢字に直すと「直通」になります
続けて読むと 「富平駅
直通」。
 

始発駅龍山から、京釜電鉄線との分岐駅・九老(クロ)駅までは、この電車も各駅に停まる。最初ガラガラであった車内も、どんどん混んできて九老のあたりまで来るとかなり立つ客もいた。

九老から京仁電鉄線に入り、この電車も快速運転となる。ゴチャゴチャと複雑な配線を通ったあと、内側2線が「直通」線、外側2線が各駅停車という複々線区間になる。快速運転と言っても、車内には停車駅の案内がない車内の放送も、「次は○○です」と言うだけで、その次は○○に停まりますとかいうような案内もない。これを不親切と思うのは日本的考えなのだろうか。

それから、複々線化と同時に防音工事もやったようで、線路端にはずーっと防音壁があって景色がよく見えない。4年前乗ったときにはこんなものはなくて、ソウル近郊の町並みをじっくり眺められたのになあ、という感じである。

15:43、龍山から30分強で富平(プピョン)着。複々線区間は今のところここまで。だからこの「直通」電車もここが終点である。

 

白雲(ペクウン)駅周辺

富平駅は、できて間もない仁川(インチョン)地下鉄との乗換駅である。せっかくなので試乗する。仁川の地下鉄も、もちろんソウルの交通カードの範囲内で、ホテル近くの市庁駅から全く改札を通っていない。
新しい路線だけに、設備も車両も新しく、電車はワンマンであった。

2駅乗って、富平3街(プピョンサンガ)駅で降りる。なんでこんな中途半端な駅で降りたか。
4年前、ソウルから仁川まで往復して、一番印象に残った景色は、
白雲(ペクウン)駅周辺であった。なんというか、韓国の古ーい家並みがそのまま残っているようなところで、「今度来る機会があったら絶対この周辺を歩きたい!」と強く思った。
そして地図を見ると、この富平3街駅から白雲駅までは比較的近く、この間を歩けば、その思いがかなえられると思ったのである。

富平3街駅から出たところは、地下鉄建設とともに広がったと思われる広い通りであったが、白雲駅に向けて一歩裏道に入れば、そこは4年前見たとおりの古ーい住宅地。日本でも30年くらい前の写真に出てきそうな雰囲気の商店街とか、自転車がやっと通り抜けられるような細い路地。これは期待したとおりである。旅していて何が一番楽しいかと言えば、こういうところを歩くことだと私は思う。

そんな中に白雲駅はあった。駅の反対側は普通の街並みであった。

  

 

白雲駅周辺の様子

 

仁川野球場

白雲駅から再び京仁電鉄線の電車に乗る。今日もものすごく暑く、白雲駅周辺を徘徊中はかなり汗をかいたので、車内の冷房で生き返る。
このあたりでも複々線化の工事が行われていて、徐行区間が多い。

この電車で終点仁川まで行った。以前来たときも感じたが、この駅は市街地から少し行き過ぎた港の近くにあり、むしろ市の繁華街はひとつ手前の東仁川(トンインチョン)駅の方である。
仁川駅では駅前で写真を撮っただけで、すぐ折り返す。駅前ではアル中のオヤジが何かわめき続けていた。



京仁電鉄線の終点 仁川駅
 

折り返しの電車は議政府北部行きであった。仁川からこつこつ各駅に停まって終点まで2時間近くかかる電車である。仁川駅からはこういう長距離鈍行が6分おきに発車している。

仁川駅から2つ目の桃源(トウォン)駅で降りる。ここが仁川に来た本来の目的である、仁川公設運動場野球場の最寄り駅である。すでに駅のホームから球場の照明灯が見えた。

  試合中の詳細は、観戦記参照

  

 

試合は21時45分ごろ終了。この国の国民性なのか、みんなとっとと帰ってしまって余韻も何にもないので、私も10分後には球場を後にする。

そして、桃源駅では運良くすぐに電車がやってくる。さらに運のいいことに途中の富平駅では来るときも乗った「直通」電車に接続していた。その結果1本前を走っていた各駅停車に追いついて、23時前にはホテル近くの市庁駅着。
ソウル市内の球場で試合を見ていたはずの昨夜より、30分以上早くホテルに着いた。

 

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