大韓民国ソウルとその近郊編
旅行第3日目 その2
ムンサンのバスターミナルへ
京義線の終点ムンサンまで来たからには、臨津閣(イムジンカク)まで行ってみようと思っている。
ただ、正直なところそこがどういうところなのか、ガイドブックに書かれていないのでよくわからない。わかっているのは板門店に行くツアーに参加しないで行ける、一番板門店に近いところ、ということである。
ムンサンから臨津閣までの行き方は、インターネットで調べておいた。それによれば、駅から徒歩10分くらいのバスターミナルから臨津閣行きの路線バスが出ているとのこと。
列車を降りて駅舎の方へ歩いていると、さっきの日本語がしゃべれる車掌さんがやって来たので、「これはついでだ」と思い、「臨津閣へ行きたいんですけど、バスの乗り場はどこでしょう」と聞いてみた。すると、その車掌さんは駅員に聞いてくれた。それによれば、駅を出て右の方に10分くらい歩いていけばある、とのことで、わざわざ駅前まで出て案内してくれた。非常に協力的であった。
ところが、この道を歩けど歩けどそれらしきものがない。だいたい、この道はムンサンの町の外側を走っているバイパスみたいである。
おかしいなあ、と思っていると、郊外方面からバスがやって来て、角を曲がって町の中の方へ走って行った。そっちの方向へ行ってみると、そのあたりがまさに町の中心で、バスターミナルがあった。
後で知ったのだが、駅を出てすぐ右に曲がるのではなく、駅を出て50mほど真っ直ぐ行って、突き当たりを右に曲がるのであった。おかげでかなり大回りとなった。
ムンサンのバスターミナル
臨津閣行きのバス
ムンサンのバスターミナルから臨津閣行きのバスは約1時間おきに走っていて、次の発車は12:30。余裕だろうと思っていたのに、最後の方は時間がなくて、駆け足になった。
この暑い中(今日もいい天気)、汗をかきかき飛び乗った臨津閣行きの94番系統バスは、非冷房車であった。うひゃ〜。
そもそも、このバスターミナルを発着するバスは、ほとんど冷房がついてないと見える。私が子供の時のような光景である。
おまけに座れなくて、立っていた。まあ、汗がダクダクなので、あまり座りたくもないんだけど。
料金は前払い制で一律600ウォン。94番系統というバスに乗ることや時刻のこと、この料金のことについては前もって調べていたからわかるけど、何も知らないで来たら、かなりまごついたと思う。だいたい時刻表や系統図らしきものが見あたらないんだもん。
バスの車内。暑かった〜
12:30、発車。ムンサンの町の中を抜けると、北へ向かう国道1号線に出る。道沿いに時々バス停があり、客がどんどん降りていく。車内放送などないので、うかうか寝てもいられないと思う。
国道と平行しているわけではないが、北へ向けて鉄道の建設も進んでいて、ときどきその様子が車窓から見える。
途中からこの路線バスは旧道に入る。日本でもよく見られる光景である。そこには日本の田舎と何ら変わらない集落があって、やっぱりそこでも客がどんどん降りていって、最後には10人くらいになった。
再び新しくて広い通りに出ると、いきなりジャンクションのようなものが現れ、このバスは曲がる。ちなみにそこの標識には、「↑板門店
←臨津閣」となっていた。いよいよ板門店は目前である。ただしここから先はツアー客でないと進めない。
もちろん路線バスもない。
このジャンクションのようなあたりは1面の田んぼの中で、見晴らしがよく、すでに向こうの方に臨津閣のような施設が見えていた。
バスターミナルから15分くらいで臨津閣着。定刻ではここまで10分で着くことになっているが、かなりアグレッシブな運転であったにも関わらず5分遅れであった。
臨津閣(イムジンカク)
臨津閣は、北朝鮮との軍事境界線近くを流れている臨津江(イムジンガン)という川のほとりに作られた施設で、一見小さな遊園地のようにも見える。
私がここに来た目的は、まずここに停まっているSL「ミカ3」を見ること。そしてそれに連結されている客車にかかっている「新義州−釜山鎮」のサボを見ることである。
SL「ミカ3」と、モニュメント
新義州→釜山鎮のサボ。
臨津閣にはこの写真を撮るために行ったようなものです。
実際にこのようなサボを掲げた列車が走るのはいつのことだろうか。
ちなみに、有名な「鉄馬は走りたい」の看板は見つけることができなかった。
その、「新義州−釜山鎮」のサボがかかっている車両は、列車レストランになっているので、今日の昼食はそこでとる。
もうお昼の時間は過ぎているので客は私1人であった。てきとうな席に着くと店員さんがメニューを持ってくるが、外国人を相手にしていないのか韓国語のみ、しかもガイドブックに書いてあるようなもの(朝鮮料理のたぐい)はおいてない。どちらかというと洋食屋さんのような感じで、店員さんが片言で「トンカツ」と指さしたところで「それでいい」と返事してしまう。
出てきたものは、日本のカツレツ定食に似ていた。さすがは韓国で、こういうものにもキムチがついている。
臨津江には、川のほとりまで行ける木製の「自由の橋」がかかり、そこから川を渡る鉄橋が補修工事しているのが見える。ムンサンから先、北朝鮮と鉄道でつなぐ工事が着々と進んでいるのである(いつ完了することやら)。
自由の橋
自由の橋から見える、臨津江にかかる工事中の鉄橋
この先、約10km行くと板門店、さらにその先約10kmに北朝鮮の町、開城(ケソン)がある。いずれも今年3月に北側から訪れたところである。
このもうちょっと先にあの開城の町があるなんて、ちょっとイメージが結びつかない。
ちなみに、開城市は京幾道にある町。京幾道の本来の道庁所在地はソウル近郊の町、水原(スウォン)である。