ペルー共和国とボリビア共和国編

旅行第3日目その2

いよいよマチュピチュ遺跡へ

9:35、列車は終点アグアス・カリエンテス駅に着く。直訳すると「温かい水」駅で、文字通りちょっとした温泉保養地なのだそうだ。

この駅も先ほど述べたような構内をフェンスで囲われた駅で、そのフェンスから一歩外へ出るとおみやげを売る露店が並んでいる。というか、その露店の中を歩いていかないとどこへも行けないようになっている。

そんなところを2〜3分歩くと、車の通れる道があり、そこに遺跡行きのミニバスが一列に並んで停まっている。前の方から満席になり次第発車するようだ。



アグアス・カリエンテスからマチュピチュ遺跡まで行くミニバス
 

さてそのマチュピチュだが、さすが「空中都市」と言われるだけあって、ここ(下界)からは見えない。フェリペさんが「あのへんだよ」と指をさすが、やっぱり見えない。

バスは発車すると、しばらく川に沿って走る。5分ほどすると、川の反対側に渡る。
その橋のたもとに、かつてはプエンテ・ルイナス(遺跡口)という駅があって、ここまで列車で来てバスに乗り換えていたのだそうだ。今となっては言われなければ気がつかない、何もないところである。

さてこの地点が標高2,000m。ここから標高2,400mの遺跡まで、15分で一気に上がる。ハイラム・ビンガム道路という、ヘアピンカーブが何回も何回も続く道である。よくぞまあこんな急斜面に道路なんか造った、という感じである。

 

マチュピチュ遺跡

10:10、マチュピチュ遺跡の入口に到着。一番乗りで来たはずなのに、すでにかなりにぎわっている。ここにあるホテルか、アグアス・カリエンテスに泊まっていた人たちであろう。

この遺跡に入るためには入場料が必要である。と言っても列車の切符に、さっきのバス代とこの入場券がセットになってくっついている(旅行会社で買うとそういう販売のしかたをする)。

フェリペさんの案内で、まずは遺跡の全体が見渡せるところ(墓地)まで一気に登る。ここで概要の説明を受けたあと、時計回りに遺跡内を見て回る。
この遺跡は東西方向に長い楕円形をしていて、真ん中に大広間と呼ばれる芝生の空間があり、それをはさんで主に南側に「○○の神殿」の類があり、北側に居住区が集まっている。



「墓地」付近から見たマチュピチュ遺跡の全景
左側に神殿が集まっていて、右側が居住区
 



よく見ると、人間がすごくちっちゃく見える
逆にいうと、見た目よりもずっとスケールが大きいということである
 



遺跡の向こうにそびえるワイナピチュ
この頂上付近にまで段々畑がある(!)
 

上から見ると、ちょっと広めの公園程度に見えるのだが、いざ実際に内部を歩いてみると結構広い。地形的に起伏も多い。周りは切り立った崖で、のぞき見るとはるか下に渓谷がある。
周辺は段々畑になっているが、「これらの畑だけではここに住んでいた人たちの食料をとてもまかないきれません。食料は主にインカ道を通ってクスコの方から運ばれてきました。これがその倉庫跡です。たくさん窓があるでしょ。ここは湿気が多いので、風通しをよくしないと腐っちゃうんです」などとフェリペさんがひとつひとつ時間をかけて説明してくれる。

インカの特徴として、精巧に組んだ石組みがある。これも「隙間なく積まないと、そこに土が入って、そのうち植物が生えてしまいます。そうすると気温差などで膨張収縮しますので、やがて崩れてしまうんです」と理論的に説明してくれる。一方で、「でも、ひとつひとつの石を精密に加工するわけですから、すごい労力ですよね」とも言った。

インティワナという岩でできた日時計も、日の影によって季節がわかるように精密に造られていることを具体的な例を示して説明される。
この岩、角が欠けている。1年くらい前、ここでコマーシャルを撮っていた撮影チームが誤って機材をぶつけてしまったのだそうで、その人たちは現在刑務所の中というからすごい話である。

内部では、2ヶ所ほどで休憩した。その間にも団体さんがざくざくやって来て、あわただしく説明を受けては通り過ぎていった。フェリペさんは「あんなことでちゃんと理解できてるのかな」と言っていた。私も同感である。

 

グッバイボーイに遭遇

3時間ほどで見学が終わり、バスで下山する。発車して、いくつかのカーブをすぎたころ、道ばたに民族衣装を着た少年がヒッチハイクのようなポーズをして立っていて、バスに向かって「ア−−ディオ−−ス」「グ−ッバ−−イ」と甲高い声を出した。あまたの旅行記に書いてある「グッバイボーイ」だとすぐわかった。

バスが向こうの方まで行ってカーブを曲がってくると、その少年は斜面を直線的に下りてきていて、バスを待ちかまえている。そして再び「ア−−ディオ−−ス」。これを一番下に着くまで繰り返す。最後にバスに乗ってきて、車内の客から拍手喝采。けっこう車内の客からチップをもらっていた。私なんか、ツーショットで記念写真まで撮った。あの甲高い声はいまだに耳に残っている。



ちょっとブレちゃいましたが・・・

 

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