ペルー共和国とボリビア共和国編

旅行第5日目その1

高原列車の出る駅へ

昨夜は10時に寝たが、なんと1時に目が覚めて、その後眠れなくなった。昨日の寒さと動きすぎから来る疲れで熱っぽいような気もするし、その割には体の節々は痛くない。何となく息苦しいんだけど、酸素吸入をお願いするほど大げさでもない。そんな中途半端な状態がつづき、結局そのまま朝まで眠れなかった。

今日は今回の旅行のきっかけとなった高原列車に乗ってプーノへ行く日である。こんな体調でこれから標高4,300mを越えるという未知の世界を通るわけで、かなり不安だけど、まあ元気出していきましょう。

6:45朝食をとる。フェリペさんが7時半にホテルに来るらしいので、その前にコカ茶を1杯飲もうと思い10分前にロビーに下りると、すでにフェリペさんがいた。昨夜から今朝にかけての体調のことを言うと、「ああそれ高山病ね。気にする必要ないよ」とほとんど一笑に付される。

今日は再びいい天気。3日前空港に来ていたナオ・ツールの事務員さんがワゴン車に乗ってやって来て、その車に乗ってプーノ行きの列車の出る駅に行く。昨日歩いて近くを通ったくらいの近さで、5分くらいで駅に着く。おみやげに絵はがきとキーホルダーをもらった。

 

ワンチャック駅

この駅は2日前乗ったマチュピチュ行きが出る駅とは違う場所にある、ワンチャックという駅。2日前も見た通り、ペルーの大きな鉄道駅は構内がフェンスで囲われているのだが、この駅は塀で覆われていて、外からは駅とはわからない。門を入るとその向こうに駅舎がある。



ワンチャック駅の駅舎
駅の正面は向こう側、そして向かって左側にホームがある
 

駅舎の正面には「ESTACION CUSCO(クスコ駅)」と書かれていて、「ワンチャック」という表記はどこにもない。その建物はこぢんまりとしていて、中には簡単な待合室がある。出発まであと20分くらいだったので、すぐにホームへ。片面ホームがひとつしかなく、そこにすでに列車が停まっている。

列車は青いディーゼル機関車を先頭に荷物車+インカクラス3両+ツーリスモクラス1両の6両編成。荷物車とは要するにこれに乗る人たちの大きな荷物を預かって、それを乗せている車両である。



私の乗った列車をラ・ラヤ峠の先まで引っ張っていたディーゼル機関車
クスコ・ワンチャック駅にて
 

私とフェリペさんが乗るのはインカクラスの先頭A号車。最後列を除いて4人掛けのボックスシートで、すべてのボックスにテーブルがついているので、ゆったりしている。この車両には前の方に20人くらいの団体さん(ドイツから来た人たちのようだ)がいて、その他2〜3人くらいのグループが何組か乗っていた。全席指定で、前4分の3くらいがふさがっていて、後ろの方があいている。フェリペさん曰く、「途中から乗ってくる客はいないよ」とのことなので、一番後ろの列2つを占領した。



私の乗ったA号車車内の様子

 

高原列車午前中

8時、定刻通り発車。最初はクスコ郊外のややゴチャゴチャしたところを走る。空港のすぐ横も通るが、そのうち山間ののどかな風景になる。保線の状態が悪く、スピードはだいたい4〜50q/hくらいだろうか、かなりのろい。それでもよく揺れる。

途中、長くて25qくらい、短くて7qくらいの間隔で村があって駅がある。駅に着いたとき旅行社から沿線の駅と距離の一覧表をもらっていて、それがこれからかなり重宝することになる。

8:42、最初の駅を通過。クスコから25.1q地点にあるオロペサという駅で、標高がクスコから約250m下がって3,095m。ここから、2日前までさんざん見たウルバンバ川の上流に沿った登りとなる。

列車は山が川に突きだした崖のようなところを走ったかと思えば、一面畑の中を走ることもあるが、景色は概して単調で、どこまで行っても同じように見える。しかし地元の人が見るとそうでもないのか、私の前の席でずっとガイドの教本のような本を読んでいたフェリペさんが、時々振り向いて「あそこに見えるのが○○というインカ時代の遺跡です」などと案内する。

10時頃、駅でないところで急に警笛が鳴って停車。前の方を見ると、牛の群が行く手をふさいでいた。それらが立ち去るのをゆっくり待つ。さっきから思うのだが、どうも「定刻を守る」をいう意識があんまりないようだ。



家が多いですが村の中です
 

11:42、久しぶりに町らしい町の中に入って、シクアニという駅に停まる。クスコから140.4q、標高3,542m、クスコを出発してはじめての停車駅である。
10分くらい停車するらしいので、さっそくホームに降りてみる。ホームには、地元のおみやげ売りの人たちが群がっていて、盛んに商品を掲げている。この駅も4方をフェンスに囲まれた駅なので基本的に乗客以外は出入りできないのだが、この人たちは「PERU RAIL」と書かれた青いゼッケンをつけている。ということは鉄道会社公認ということなのだろう。



シクアニ駅のホームでおみやげを売る地元の人たち
 

やがてホームにあった鐘が2つ鳴らされ、続いて3つ鳴り、ホームに出ていた乗客たちが列車に乗り込む。4方を囲むフェンスのうち、行く手の線路の部分が開けられて、11:53発車。

お昼が近づいたので、朝ホテルで受け取っていたランチボックスで昼食とする。開けてみたら、なんとおにぎりであった。中身は炊き込みご飯、塩鱒(塩鮭の代わりらしい)、梅干し。さらにズッキーニ(キュウリの代わりか)の漬け物にゆで卵まで付くという本格派。今朝の体調ははっきり言って悪かったのに、列車に揺られていたらすっかり復調し(ホントに私らしい体質である)、おいしく食べた。

他の客たちは、クスコを出発したときにメニューを配られ昼食の注文をしていて、それがこのころ配られる。私もちらっとメニューを見たが、たしかすべての料理(コース料理。単品はなかった)が$9くらいだったと思う。あとで見たところ一番後ろのツーリスモクラスの車両の半分が厨房になっていた。

 

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