ペルー共和国とボリビア共和国編

旅行第5日目その2

ラ・ラヤ峠

12:16、シクアニの次の駅マランガニに停車。駅の向こう側に3角線があり、それを使って機関車をひっくり返していた。機関車の向きによってパワーが変わるのだろうか。フェリペさんも、「こんなの初めてみました」と首をひねっている。

この駅をすぎると、登りが一段ときつくなる。ここから約26qの間に、標高にして650mも登るのである。しかしこのディーゼル機関車は強力で、今までのペースをまったく落とさずにどんどん登っていった。



景色もだいぶ荒涼としてくる
 

いよいよ標高4,000mを越える。さすがにこのあたりまで来ると耕地がなくなり、一面の草原となった。もちろん未知の世界なのだが、私にとって列車に揺られているのがよっぽど性に合っているのか、さっきから体調が良い。

13:07、いよいよ最高地点、標高4,319mのラ・ラヤ峠。ちょうど分水嶺の部分に駅があり、停車する。もちろん、降りてみる。
峠とは言っても、あたり一面草原の中にあり、日本でいうところの「峠」らしくない大味な景色である。



ラ・ラヤ駅
 



同じくラ・ラヤ駅にて
どうです、この大味な景色
 

並行して走っている道(クスコ〜プーノの幹線道路)を走る長距離バスもここが休憩地点になっているようで、そこにたまたまバスが数台停まっていて、駅周辺は客たちで賑わっていた。
それだけ見ると普通そうな光景なのだが、そこはさすがに標高4,319m。列車から乗り降りするだけで息が切れる。ちょっと早足になっただけでも息が切れる。だからと言って息苦しいわけではないが、それだけの標高を感じずにはいられないのであった。

 

高原列車午後

ラ・ラヤを出発すると、ここから先はただひたすら草原の中を行くようになる。しばらくは集落もなくて、ラ・ラヤから30q近く駅がない。ただし、途中に2ヶ所信号所のようなところがあった。

その2ヶ所めの信号所の手前で停車。何をやっているのかと思って前の方を見たら、反対方向からやって来た列車がその信号所の中に停まっていて、機関車をお互いに交換しているのであった。さっき機関車をひっくり返していた理由がここでわかった。
やがて列車が動き出す。信号所の中にさしかかると、すれ違いの列車が、今までこちらの列車を引いていた青い機関車に引かれて発車していった。向こうの列車には展望車がついていた。一方、こちらの列車を引いているのは、今まで向こうの列車を引いていた、オレンジ色のオンボロ機関車。

最初に現れた村がサンタ・ロサというところで、ここで標高4,000mくらい。
ラ・ラヤからクスコ側では、4,000m以下のところではほとんど耕地であったが、プーノ側はほとんどが一面の草原という区間である。気候的に霜が降りやすく耕作に適していないのだそうだ。
駅間距離(村が現れる間隔)も平均して長くなる。そういう草原の中に時々リャマの群れとそれを飼うインカのおばさんとかが歩いている。



一面の草原。リャマを放牧する人々。
 



たまに通過する駅
 

鉄道に離れたり近づいたりしながら、クスコからプーノへ向かう幹線道路が平行している。その途中で時々休憩しているバスを見かける。
あるとき、そのバスの外で休憩している人たちがこちらに手を振っていた。フェリペさん曰く「あれは日本人ツアーですね。バスを見ればわかるよ」。彼らはまさかこちらにも日本人が乗っているとは思っていないだろう。

マチュピチュに行ったとき、駅にペルーの鉄道全体の時刻表が貼ってあった。路線が3つしかなく本数も少ないのでA2版1枚ものであったが、この中にはもちろんクスコ〜プーノ間の時刻の記載もある。といってもクスコとフリアカとプーノの時間しか書いていないのだが、いちおう写してきた。
一方、今日は旅行社からもらった駅名と距離の表に通過した時刻を記録しているのだが、比較するとどうも定刻よりも大幅に遅れているようである。ただ、フェリペさんも言っていたが、「定刻」なんてものはあってないようなものらしい。
フェリペさんは、「私はバスの方が好きですね。列車は遅いし揺れる。バスは速いし本数も多い。でも、外国から来る人には鉄道の方が人気ですね」と言った。たしかに鉄道のこの「ていたらく」ぶりを見ればわかる気がする。でもやっぱり私は鉄道の方がいいな。

 

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