ペルー共和国とボリビア共和国編
旅行第5日目その3
高原列車夕方
やがて列車は久しぶりに大きな町であるフリアカにさしかかった。町の中の線路沿いは市場になっていて、というより人通りの多い市場のまっただ中に列車がつっこむような感じで、列車は警笛を鳴らしながら最徐行して進む。事故が起きないのが不思議なくらいである。
フェリペさん曰く、「フリアカは歴史の浅い新しい町です。でも今ではプーノより人口が多いし、プーノにはない空港がここにはあります。何でだかわかる? 工場が多いんですよ。偽物ブランドの工場が(笑)」。
フリアカの町にさしかかったところ。
これだけでも相当な光景ですが、ここからがすさまじかった。
市場の中を突っ切っていくのですが、そこでは危なくて写真が撮れませんでした^^;;
16:53、フリアカ駅着。いちおう定刻では15:45となっているが、そんなことを書くこと自体がヤボのような雰囲気である。
ここで大多数の客が降りる。みんなこの列車の終着地プーノへ行くのは同じなのだが、ここからバスに乗り換えた方が全然早くて、その方がスタンダードになっている。でも私は鉄道にこだわる。これに乗るためにペルーへ来たようなものだからである。
17:05発車。すると、駅の構内から出たところで急停車。なんと機関車が故障してしまったようだ。町の中の人通りの多いところで、ギャラリーが寄ってくる。後ろから見ていると、エンジンを止め、機関士が降りてきてなにやら作業をしている。
15分後、よくわからないのだが再びエンジンがかかり出発。
ここまで来ると各席のテーブルにかけられていたテーブルクロス類はすべて片付けられてしまったし、車内はフリアカからガラガラ、しかも外は日が暮れて暗くなりつつあり、ほとんど惰性で走っているような感じになった。
17:50すぎ、最後の駅を通過したあたりから、いよいよチチカカ湖の湖畔を走るようになる。といってもだいぶ暗くなって景色を見るのもつらい状況なのだが、とにかくじっくり見る。とうとう来たか、という感慨のようなものがわいてくるのであった。
プーノに到着
チチカカ湖畔を進んでいると、プーノの夜景が見えた。その中に入っていき、18:30に終点プーノ駅に着いた。ここも駅に着く前、フリアカほどではないが市場の中を突っ切った。
プーノ駅に到着
駅にはナオ・ツールの現地支社の事務員さんが迎えに来ていた。その車に乗って今夜のホテルに向かう。
人がうじゃうじゃ、その上道が細かく入り組んで、以前行ったことのあるネパールのカトマンズを思い出させた。
しかしここは標高3,855m。富士山の山頂より高い。今回の旅行で泊まる最高所である。
ホテルは3階建てであった。私の部屋は3階で、しかもエレベータがなくて、こんな高所では3階まで階段で登るだけで一苦労である。
クイ(モルモット)を喰らう
フェリペさんに会って1日目だか2日目だかに、「ここではクイ(モルモット)を食べるんですよね」という会話をした。それをフェリペさんは覚えていて、朝クスコを出発するときに「今夜プーノに着いたらクイ料理を食べに行きましょう」と言われていた。
そのときは体調が悪くて、正直言って「参ったなあ」という感じであったが、1日列車に揺られて体調が元に戻り、「ぜひ行きましょう!」となった。
フェリペさんが連れて行ってくれた店は、アルマス広場に面したレストラン。メニューはスペイン語のみで、今までこういう店では辞書と格闘しながらメニューを選んでいたが、今回はフェリペさんがいる。しかも目的が「クイ」とはっきりしている。
フェリペさんは、メニューも見ないで店員さんになにやら注文していた。「前菜」のスープだけはメニューの中から選ぶ。
出てきたものは、いってみれば「モルモットの唐揚げ」のようなもの。一匹まるまるの「姿造り」である。日本で見るモルモットより大きい。でもフェリペさんは、「クスコのよりだいぶ小さいなあ」ともんくを言っていた。それを2人で食べる。
こやつです。もっとちゃんと写せばよかった。
お味の方は、これがフライドチキンに非常によく似ている。食べ方も似たような感じである。私はぶきっちょにだいぶもったいない食べ方をしていたが、フェリペさんはさすが地元、骨だけ残してきれいに食べた。
今夜の食事代は全部私が持った。2人で45.50ソーレス(1,500円くらい)であった。今まで普通にレストランで食事を取って1食500円を超えることはあまりなかったから、クイはそれなりに高級な料理なのかも知れない。
その店からホテルまでは徒歩5分くらいであった。行くときもそうだったが、途中に銀行があって、そのキャッシングコーナーに長蛇の列ができていた。もう夜9時近くである。
それにしても標高3,855m。ただ歩いただけなのに、ホテルに着いたときにはすっかり息が切れ、ロビーのソファーに座ってゼーゼーいっていた。一方フェリペさんはケロッとしていて、その対照的な姿にフロント係の人が笑っていた。