ロシア連邦編

旅行第3日目 その3

モスクワ地下鉄

そこから今度は市内が一望できるところへ行こうと思った。ということで、近くのキタイ・ゴラードという駅から地下鉄に乗った。

モスクワの、というかロシアの地下鉄については、過去何人かから話を聞いたことがあり、実際のところどんなもんなんだろう、と出発前から楽しみにしていたもののひとつである。

ガイドブックには、どこまで乗っても均一料金で、1回用のコインと、回数券があると書いていた。しかし、モスクワの場合、1回用についても厚紙でできたカードで(4ルーブル)、あと5回用と10回用の、材質が同じでプリペイドカードのような回数券(それぞれ15ルーブル、30ルーブル)があった。すべて窓口での手売りであり、最初は窓口の人と言葉に苦労しながら買っていたが、途中から紙に用件を書いたものを見せて買うようになった(こっちの方がすぐ買える)。

改札口はすべて自動改札で、日本と違い最初は開いている。ふだん青いランプがついていて、何か間違ったカードでも入れると赤いランプに変わって改札が閉まる。改札にカードを通すと裏に乗った駅のコードと時間が表示される。ちなみに改札機があるのは入口だけで、出口は改札機がなくそのまま外へ直行となる。そして改札機の先にものすごいエスカレーターが控えている。

そのエスカレーターであるが、聞いていたとおりものすごいスピードで、ガーガーいいながら動いている。手動運転らしく、エスカレーターの下側に制御室があり、常に監視員がいた。そして、これだけのスピードでも走り降りる人が多い。というのも駅のホームがどこも非常に地下深いところにあって、これでもかなり時間がかかるのである。私もこのスピードに慣れてくると、だんだんまどろっこしくなってきて、走り降りるようになった。

駅のホームはどこも美術館のように装飾や照明に凝っていて、思わず写真を撮りたくなるが、基本的には撮影禁止のようである。まあ、撮っても何も言われなかったかもしれないが、警備員が常にホームを歩き回っていて、非常に撮りずらく、結局1枚も撮っていない。そのかわり駅舎の写真は何枚か撮った。駅舎は外観が聖堂のような荘厳な建物の場合が多く、地下鉄を示す「М」のマークがなければ地下鉄の駅とは思えない。

駅名は非常に長い名前が多い。ロシア文字にそろそろ慣れてきたとはいえ、路線図と駅名標を必死に見比べては乗り換える。路線ごとに色を変えるとかいうことをしないので、余計である。

電車は、全路線統一で2種類。両方とも濃い青色の車体で、照明が白熱電球のタイプと蛍光灯のタイプの車両があり、白熱電球の車両は、昔の銀座線のように、駅に近づくたびに一度電気が消える。車内放送はすべてテープで、「閉まる扉にご注意下さい」というような放送もする。そして、ものすごい勢いでガシャンと扉が閉まる。イメージとしてはギロチンのようである。

各路線とも運転間隔は非常に短い。各ホームの一番前寄りには電光のタイマー時計があり、前の電車が行ってから何分たったか示しているが、どんなに開いても3分以内には次の電車が来た。1分以内に来ることもしばしばであった。

 

モスクワ大学

地下鉄2路線を乗り継ぎ、30分くらいかかって、ウニヴェルシチェートという駅で降りる。直訳すると大学前駅である。

その名の通り駅を出るとモスクワ大学の敷地のフェンスが目の前にある。目的地は市内を一望できるヴァラビヨーヴィ丘というところで、地図によれば大学の構内をつっきると近いらしい。

さすがにロシア最高峰の大学、しかも土地的にゆとりのあるお国がらだけに、大学構内は広く、緑も多く、その中に建物が点在している。今日は日曜日なので、構内にはサークル活動をしているような人たちしかおらず、全体的には静かであった。

 

ヴァラビヨーヴィ丘

モスクワ大学の広い構内をつっきり、駅から30分も歩いて目的地ヴァラビヨーヴィ丘に着く。かなりにぎわっている。私のように地下鉄の駅から歩く人は皆無で、ほとんどの人は車で来る。目の前の通りをトロリーバスが走っていて、それで来る人もいる。

この丘は標高そのものはあまり高くないが、モスクワ市内が地形的に平坦なので、市内がほとんど一望できる。眼下をモスクワ川が流れ、その対岸にオリンピックスタジアムが見え、さらにその向こう側に市の中心部が広がっていた。



ヴァラビヨーヴィ丘からのモスクワ市内

 

夜の赤の広場

いったんホテルに戻った後、昼食その2を食べたアホートヌイ・リャト地下3階のフードコートで夕食を済ます。そして地上に戻ったころには夜8時をすぎ、だいぶ暗くなっていた。そこで、これも楽しみにしていた夜の赤の広場探訪に出かけた。

赤の広場は、見事にライトアップされていた。クレムリンの外壁やレーニン廟は対面のグムデパートから、聖ワシリー教会はその下方に設置された投光器から、それぞれ照らされている。いずれも写真で見たことのある光景で、思わず立ちつくし見入ってしまう。

日曜の夜ということもあって、人通りもそれなりにあり、いい雰囲気であった。



夜の赤の広場

 

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