ロシア連邦編

旅行第4日目 その3

サンクト・ペテルブルグへ向かって出発

その夜はグムデパート2階のカフェで夕食。食後、赤の広場に散歩がてら行ったら、今日は聖ワシリー教会がライトアップされていなかった。

ホテルのクロークに預けた大きな荷物を受け取り、夜10時、駅へ向け出発。いちおう今回もインツーリストの車である。さっき駅に行って様子がわかっているので、別に地下鉄で行ってもよかったが、予約してしまっているので利用する。大きな荷物を持っているので、これで地下鉄に乗るのはきついかもしれないし、結局のところ利用するのがいいのか悪いのかよくわからない。

車のカーラジオではニュースをやっていて、早口のロシア語なのでもちろん何を言っているのかわからないが、やたらと「ゴルバチョフ」という言葉が出てくる。翌日ホテルでBBCのニュースを見て知ったのだが、ゴルバチョフの奥さんが死んだらしい。

 

日本人バックパッカーに遭遇

駅に着くと、時間がありすぎるので、駅舎の中へ。例の通りなぜか駅舎の入口に警官がいて、なにやらチェックしているが、私の前にいた中国人のグループにまぎれこんでどさくさで中に入る。

内部は体育館くらいはある広い空間になっていて、出発を待つ人たちは思い思いに壁づたいに座り込んでいる。探せば待合室もありそうだったが、めんどくさいので私も空間を見つけ、荷物の上に座る。



レニングラード駅舎内
 

駅舎のホーム側の出口付近に、大きな電光の掲示板があり、列車名と出発時間、発車ホームが上から発車順に表示されている。見るとペテルブルグ行きの夜行列車だけでかなりの本数がある。発車ホームはそのときにならないとわからないらしく、わかった時点で表示される。発車順にホームが決定するわけではないらしく、上から順に表示されたりされなかったりしている。なんだかなあ。

の乗る列車も、発車ホームがいつまでたっても表示されないので、「あれ?」とか思って見ていると、いきなり日本語で話しかけられる。見ると私と同じくらいの年の日本人。会社を辞めて、日本を船で出発して、シベリア鉄道でモスクワに来て、ここからも鉄道を乗り継いでヨーロッパ方面に行くらしい。これまでの体験談を話し合ったりするが、とにかく久しぶりに日本語をしゃべる。

話しているうちに彼の列車の発車時間が近づいたので、お互いの健闘をいのり別れた。

 

駅の電光掲示板
乗ったのは上から2番目 002列車
 

寝台特急「赤い矢」号

そのうち私の乗る列車の発車ホームも表示され、11時半、満を持してそのホームへ行く。

乗る列車は数あるペテルブルグ行きの中から、寝台特急「赤い矢」号。シベリア鉄道を走破する「ロシア」号と並ぶロシアの2大看板列車のひとつである。ふつう、列車の車体は深緑色なのだが、「赤い矢」号の車体は赤で、車体に「赤い矢」を意味するロシア語が書かれている。

列車は15両編成で、私の車両は前から3両目なのでかなり歩く。各車両には女性の車掌がいて、扉のところに立っている。寝台番号が書いてあってそれぞれの切符がはさめるようになった大きな布状のものを持っていて、乗るときに回収した切符を丸めてその番号のところにはさむ。切符は降りる30分くらい前に返してくれる。

の乗った車両は構造的に日本のコンパートメント方式の2段式B寝台によく似ている。4人部屋のコンパートメントが1両に9つある。等級がいくつあるのかわからないが、外国人が乗れるクラスはソフトとハードの2つだけで、この車両はハードクラスである。ソフトクラスは2人部屋らしいが、この列車に連結されているかどうかはわからない。

ロシアでは個室を男女別にすることは基本的にしない。私の部屋も、ネクタイを締めた出張風の2人とおばちゃんと私の4人である。4人入ってしまうとけっこう狭い。

部屋の窓際のテーブルには4人分のカップとミネラルウォーターが置いてある。寝具はあるがセットされていない。また、日本のような各寝台のカーテンもない。部屋や廊下のスピーカーからはロシアの歌謡曲のような音楽がずーっと流れていた。

23:56、ほぼ定刻通り、静かに発車。発車と同時に車掌が翌日の朝食を配って歩く。深夜なので景色は何も見えないし、30分もすると寝具をセットして寝てしまう。

 

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