離島シリーズ
沖縄本島周辺の島々

 

私が「沖縄本島周辺の3つの島に行ってみよう」と出発したのは平成11年の2月。

定時まで会社で仕事していた私は、会社から羽田空港に直行、那覇行きの最終便に乗る。
今日は、2月だというのに東京の最高気温が20℃を越えるというバカ陽気で、私は沖縄用に薄着をしているからいいけど、特に北国方面に行く人たちはコートとかが暑そうであった。

羽田発那覇行きの最終便は出発が20:30と遅く、しかもかなり強い向かい風の中を飛ぶようで、出発前から「到着が遅れます」と言っていた。
そういうわけでなんと3時間近くも飛んで、ようやく那覇空港に着陸した。

空港からタクシーを飛ばして那覇市内のホテルに着いたのは、夜12時近かった。東京も暑かったが沖縄はもっと暑く(最低気温が20℃だったらしい)、ホテルの室内は蒸し暑い。時期的にクーラーも入らないし、部屋は那覇市のメインストリート国際通りに面していて窓を開けると騒がしい。ということで、寝苦しい夜であった(繰り返しますが2月ですよ)。


到着が遅かった上に暑くてロクに眠れなかったが、とにかく翌朝7時頃ホテルを出て、再び那覇空港に向かう。

当時、那覇空港は本土便が発着する第1ターミナル離島便専用の第2ターミナルに分かれていた(今回の旅行の数ヶ月後、現在の新ターミナルに統一された)。その第2ターミナルは、いかにも沖縄らしい開放的な雰囲気であった。また、現在のターミナルに移るまでチェックインが電算化されずに搭乗券に座席番号を書いたシールを貼る昔ながらの方式で、平成2年に初めて訪れて以来すっかり気に入ってしまった場所だった。



今はなき那覇空港の旧第2ターミナル
沖縄らしい開放的な雰囲気の場所でした。
ここでソーキそばを何度食べたことか。
 

これから乗る粟国島行きの飛行機は9人乗り。これだけ小さな飛行機だと、搭乗手続きが始まっても席がすぐに決まらない。予約していた客が全員揃ったところで、全員の体重のバランスを考慮して決められる。ということで、搭乗券を手にしたのは出発の15分前で、その後すぐに搭乗待合室を通って飛行機の所へ行く。ちなみにこの飛行機は座席によって乗る順番が決まっているのであった。

 

●粟国島(あぐにじま)

粟国島は那覇から約60kmの沖合に浮かんでいる。周囲約12km、人口900人強で、全島が粟国村である。
この島へは那覇から船は村営フェリーが1日1往復、飛行機は前述の琉球エアーコミューターの「アイランダー BN−2B」という定員9名の飛行機が1日6往復している。



アイランダー BN−2B型ヒコーキ
 

そのセスナ機のような小さい飛行機で那覇空港から20分ほど飛び、粟国空港に着陸する。
今日の宿(民宿)に落ち着くと、さっそく出かけてみる。宿ではレンタバイクをやっていて、1台置いてあったが、ガソリン切れをおこしていて動かないので、宿のおじさんがどこかから代わりのバイクを持ってきた(のんびりしてるなあ)。

粟国島の集落は、港の近く(今日の宿はここにある)と村役場周辺の2つがあり、その間が数百m離れている。
村役場の奥に教育委員会の建物があり、その中に郷土資料館がある。外からはよくわからないのだが、確かに建物の一番奥が資料館になっていた。誰もいなくて、勝手に入りこんだような感じであった。

島の西端はマハナという景勝地になっている。そこへ行く道の案内は全くないのだが、とにかく西の方向に進むとマハナに着く。
ここは筆ん崎(「ふでいんざち」と読む)という断崖があり、その上に平地が広がる地形になっている。そういう地形なので風を遮るものがなく、今日は北風が強いので寒い。だいたい今日は昨日より気温がグンと下がり、はっきりいって昨日の東京より寒い。



筆ん崎という断崖の上にあるマハナ
 

ここから、島の北西側にある洞寺(と書いて「てら」と読む)へ行く。ここへ行くために村役場周辺の集落の中を通るのだが、この内部は細かい道が入り組んでいてわかりにくく、道に迷う。だいぶ迷ってたどり着く。
洞寺付近は入口が広場として整地されて、ここに碑(「むんじゅる節之碑」)なども建っている。



むんじゅる節之碑
 

入口を入り、うっそうと茂った林の中を下っていくと洞窟がある。ここは無人なのだが、人が入っていくと自動的にセンサーが働いて内部の明かりが入るようになっていた。

さっき道に迷ったときに見つけた、島の一番北側にある塩の工場に行く。「粟国の塩」はけっこう有名だが、ここがその製造現場である。
パンフレットには「前もって電話すれば見学できる」と書いてあったが、さっきいくら電話しても話中だったので直接事務所に顔を出すと、「どうぞご自由に見学してください」と言われた。
この工場の仕組みは極めて単純で、すぐ裏にある海からポンプで海水を引いてきて、ブロックでできた高い塔(大きな建物なので遠くからでも目立つ)の上からその海水を落として濃縮し、そのあと天日と、平釜で煮しめる、というものである。



塩田タワー。内部を風が通りやすい構造になっています。
すぐ後ろの海から引っぱってきた海水をこの中に通してまずは濃縮します。
 

私が行ったときは最初の高い塔(塩田タワーというらしい)は動いてなかったが、平釜はガンガン火を焚いていた。とは言ってものんびりしたもので、3m四方くらいの釜が全部干上がるのに半日以上かかるとのことで、従業員ものんびり作業していた。釜のある部屋にズカズカ入っていっても従業員の人は「どこから来られたんですか」とか言いながら悠然と作業していた。



濃縮した海水を薪をガンガン焚いて干上げます。
といっても非常にのんびりした作業です。
 

宿に戻ったのが5時過ぎ。まだ夕飯までだいぶ時間があるのでしばらく集落内を歩いた。旅に出ると曜日の感覚がなくなるのだが、今日はウィークデーなのであっちこっちで道路工事をやっており、役場もふつうどおりにやっていた。港からは、2日後に行く渡名喜島も見えた。

 

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