離島シリーズ
長崎県五島の島々

 

●小値賀島(おじかじま)

私が最初に訪れたのが、小値賀島であった。

小値賀島への船は、佐世保から出ている。高速船とフェリーが、 佐世保 → 中通島 → 小値賀島 → 宇久島 → 佐世保(日によってはその逆コース)で航行している(現在では中通島に寄港するのは高速船だけであるが)。
一方、オリエンタルエアブリッジ(私が訪れた当時は「長崎航空」という名前だった)のBN−2型という9人乗りの飛行機が、長崎空港から1日2便飛んでいる。

この「9人乗り」というやつにどうしても乗ってみたかった。基本的に五島列島を北から南下していった本旅行において、最初に小値賀島を訪れた理由がこれなのである。しかし。

出発当日、日本海側は全体的に天気が荒れていて、羽田から日本海側の都市へ向かう飛行機は欠航が相次いでいた。
私が乗った長崎行きのジャンボジェット機はなんとか予定通り飛んだが、長崎空港も風が強く、その9人乗りの小型飛行機は欠航してしまったのであった。
仕方なく長崎空港から空港連絡バスに乗って佐世保へ向かった。しかも、海も荒れていて高速船も欠航、唯一の足となったフェリーの出航ににギリギリ間に合うという慌ただしさ。さらにはその船も混んでいて船内での居場所にも困る状況であった。


− ここからやっと本題ですが、 −


・・・ということで、予定では午前中には小値賀島に着くはずが、夕方5時半を過ぎてようやく到着した。ただだいぶ西の地方なので、冬のこの時間でもまだ日がさしていた。



ようやっと小値賀港に入港したところ
 

結局この日はこれ以降何もできなかった。というのも、水不足のため午後7時から断水とのことで、泊まった民宿としてもそれまでに食事の後片付けまで済ませなければならない。こちらとしてもそれまでにフロに入りたかった。

翌朝、ようやく島を1周してみた。町役場(この島は全体が「小値賀町」という町である)で自転車を貸し出している。

小値賀島の最高地点は標高82mの番岳の山頂。こう言うとたいしたことないが、自転車で行くとなるとこれがひと苦労。ただしここからは両隣の宇久島、中通島が一望できる。
そもそも島内の道は起伏が多い。ちょっと自転車でまわるのはしんどかった。
町役場のある笛吹という集落も、地形が海に向かってずっと斜面になっている。この集落、非常に細かい道が入り組んだ古い家並みなのだが、そういう地形のため方向感覚がわからなくなることがない。



集落内はどこもこんな感じでした
 

この島の中央付近には、「姫の松原」という見事な松並木がある。この道も、ご多分に漏れずゆるい坂道になっている。



姫の松原。見事な松並木
 

島の周辺には、小値賀島の2/3の大きさはある野崎島をはじめ、ざっと数えただけで10以上の小さい島がある。このうち、2番目に大きい斑島(まだらじま)だけは橋でつながっていたので、行ってみた。この島には国の天然記念物「ポット・ホール」という、海岸の岩場にある直径2m、深さ3mの穴の中に50cmの丸い石が入っているという妙なものがある。

この日のお昼にはおとなりの宇久島に出発しなければならなかった。時間に余裕のない社会人の旅の悲しいところである。
天候に災いされ、島を見て回る時間が半日しかなかったのが心残りであった。

 

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