離島シリーズ
鹿児島周辺の島々

 

●下甑島(しもこしきじま)

甑諸島の中で他の島と橋でつながっていない下甑島。訪れた当時は北側3分の1くらいが鹿島村で、残る部分が下甑村となっていた。
この島は全体的に地形が険しく、特に両村の境あたりには長いこと道路がなかったため、かつては島内でありながら船でしか往来ができなかった。



高速船シーホーク
中甑港にて
 

下甑島の中甑港を出航した高速船シーホークは、昨日4分の1くらいしか行けなかった中甑島の沖合を進んだ後、下甑島沖合にやって来て、まずは鹿島村(当時)の鹿島港に着岸した。
鹿島港を出港すると、続いて下甑村(当時)の長浜港に着岸する。

旧下甑村には長浜港手打港という2つの港がある。現在では串木野から来た船はこの両港に立ち寄るのだが、当時は午前便が長浜港、午後便が手打港のみの寄港であった。私が乗っていたのは午前便だったので、長浜港に着いたのである。

この日の宿は手打の方にとってある。長浜港に着くと、港には村営の路線バス(今は「市営」なのかなあ)が3台停まっていて、そのうちの「手打港行」に乗る。
村内いたるところを走っている村営バスが、船に接続しているのであった。
客が乗り終わると3台のバスは同時に発車。私の乗ったバスはこういう島らしからぬ本格的な「峠道」を30分くらい走り続け、手打の集落に入った。

下甑島にはレンタカーやレンタバイクをやっているような店はない。そこで事前に村役場に相談して紹介されたのが今日の民宿である。その宿で貸してくれたのは宿の名前の入った軽ワゴンであった。


この島は前述のように地形が険しいせいもあって道もくねくね峠道ばかりが続くような感じである。島内のメインのルートである手打〜長浜〜鹿島だけはきちんと整備されているが、他の道は細くて、しかも案内標識が整備されていないところが多い。



長浜の集落
このようにこの島では海と山に挟まれた集落ばかりです
 

最初のうち、私は島内に散在する見どころを廻っていたが、道が分岐点に差し掛かるたびに地図を眺めながら考え込んでいた。道を間違えることもしばしばだったのだが、それに気がつくのも時間がかかった。


長浜〜鹿島の間はほとんど集落もない1本道である。地形が急峻すぎて近年まで道がなかったところで、今となってはこちらの方がしっかりとした道路になっている。
途中、旧下甑村と旧鹿島村の境目付近のすぐ近くの八尻展望所というところから見る景色が島で一番細くなっているところで、実際このあたりは両側に海が見える尾根のようなところを道路が走っている。



八尻展望所から見る、島が一番細くなっているところ
この尾根付近を道路が通っています
 

さらに15分ほど走ると鹿島村(当時)の中心地・藺牟田で、とりあえずそこを通り越して島のとったんの鳥ノ巣展望台へ行く。ここにも標識がなく、道を間違えて10分ほどロスした。
鳥ノ巣展望台からはすぐ目の前に中甑島が見え、その間の海峡には潮の流れが川のように見えた。ここに橋を架けて甑を一つにしよう、という趣旨の看板があった(すべての港にも同じような看板があった)。



鳥ノ巣展望台のすぐ向かいにある中甑島
海峡の潮の流れが川のようです
 

そして鹿島に戻り、今朝も寄港したフェリーターミナルでしばらく休憩。この集落内の道は入り組んでいて狭かった。

鹿島からはまっすぐ手打に戻る。距離にして30kmちょっとなのに、1時間くらいかかった。
ちょうど宿近くの港にカーフェリーがやって来る時間だったので見に行った。高速船は串木野で夜を明かして甑島との間を1日2往復するが、速度の遅いカーフェリーは手打で夜を明かし、串木野へ1往復して夕方手打に戻ってくるダイヤになっている。普通の客は高速船を使うので、この日フェリーから降りてきた客は1人だけであとは貨物であった。


翌日は午後の高速船で島を離れるので、それまでゆっくり手打の集落内を歩き回っていた。この集落は横方向にひょろ長く、泊まっていた港付近はその端っこ近くである。
宿から50mくらい行ったところに津口番所跡というのがあり、ここから武家屋敷通りというのが続いている。最初はただの裏通りという感じであったが、10分ほど歩いて村役場のあるあたりから先がこの集落の中心部で、道もいかにも「武家屋敷通り」らしく整備されていた。



武家屋敷通りの入口
 

昼食をすませ、島を出発すべく宿を出て13時頃港へ行った。釣りをしている人などがいてのんびりしている港だが、やがて出発する人や出迎えの人が集まってきてにぎわう。村内各所へ向かう村営バスもやって来た。

 

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