離島シリーズ
鹿児島周辺の島々

 

下甑島の手打港を出航した高速船は、下甑島の長浜、鹿島、上甑島の中甑、里と今までの復習をするように寄港しながら進み、串木野新港に戻ってくる。着くとすぐにタクシーで一昨日の朝来たばかりなのに妙になつかしい串木野駅へ行き、ここから電車に乗ってまっすぐ鹿児島に向かう。今度の電車は特急つばめ号で、いつものようにフルスピードで走って30分もかからずに夕刻の西鹿児島駅(現・鹿児島中央駅)に着いた。
この日の夕食は鹿児島市の繁華街・天文館で鹿児島ラーメンを食べた。博多とも熊本ともまたひとつ違う味である。

 

●種子島(たねがしま)

その翌日からが、この旅の後半戦・種子島と屋久島である。
鹿児島からこれらの島々に向かう一番メジャーな方法と思われるのが、ジェットフォイルのトッピー号。私もこれに乗るべく、駅前からタクシーに乗って市内の鴨池というところにある鹿児島本港の北埠頭に行った。ここにはいくつかのフェリーターミナルがあり、タクシーはその中の種子・屋久航路ターミナルの前で停まった。大きくてけっこう新しいビルである。
ジェットフォイルであるから乗船券の発売と同時に座席指定の手続きがある。その後ビル内のメシ屋で朝食をとるが、まだ時間が余ったのでこれから乗る「トッピー号」の所まで行く。写真を撮ってもらおうと思いそのへんにいたおじさんに声を掛けたところ、その人の兄弟がこれから向かう両島でレンタカー会社をしているらしく、安く紹介してくれた(結果的にけっこう得をした。いい人に声を掛けたもんだ)



ジェットフォイルのトッピー号
 

7:30、出航。ジェットフォイルなので、港内をでるとひたすら時速80kmくらいのスピードを出しているのだが、周りが海なのでそれほどスピード感はない。50分ほど行くと錦江湾から外洋に出る。今日は風が強くて外洋は荒れているが、半分浮いた状態で航行しているジェットフォイルは全く揺れずに進む。
9:10、種子島の西之表港に着岸。この「7:30発、9:10着」のダイヤは現在も変わらない。

ターミナルビルから出るとさっきのおじさんから連絡を受けていたレンタカー会社の人が待っていて、その場で手続き。おじさんから「マケておけ」とでも言われたのか、保険料はサービス、返車は泊まる宿の駐車場に停めておけば取りに行くとのこと。


種子島は、南北方向に縦長の平坦な島。北から
西之表市中種子町南種子町の1市2町からなっている。
ジェットフォイルや大型フェリーがやって来る大きな港が島の北方・西之表にあり、空港は島のほぼ中央・中種子にある。
ちなみに「
西之表」は同じ字を書く沖縄の「西表島(いりおもてじま)」とは違い、「にしのおもて」とそのまま読む。


港を出発すると、まず市内の資料館へ行った。種子島といえば鉄砲伝来の歴史があるので、それに関する資料が豊富である。
その後、島を南下している国道58号線を走る。起点・鹿児島市、終点・那覇市の国道58号線が、種子島も縦断している。国道は市街地を抜けるとかなり長い間海沿いを走るが、とにかく今日は風が強くて海が荒れまくっており、道が波をかぶっているところもある。

中種子町に入り、西之表から30分くらいで種子島空港があり、立ち寄る。大阪から直行便も飛んでくるような空港であるが、そのわりにはローカルな雰囲気である。ここも風が強いが、その風が滑走路と平行に吹いているので、飛行機は予定通り飛んでいるようだ(うまくできているなあ)。



種子島空港
ローカルな雰囲気です
 

さらに国道を南下。種子島は全体的に平坦な島なので、坂もカーブも少ない。
20分ほど走ると、おとなり南種子町の中心地・上中で、ここでお昼タイム。

昼食後、島の南端門倉岬へ行く。上中からは国道から外れて道が細くなるが、案内標識は多く道に迷うことはない。門倉岬には鉄砲伝来に関する多くの碑があり、天気がよいせいもあって南国のような雰囲気であった。



門倉岬
 

門倉岬から、この島で一番楽しみにしていた「種子島宇宙センター」に向かう。ここへもしっかりした案内標識があって道には迷わない。
入口にある門から1kmくらい入っていったところに宇宙科学技術館がある。中は広く、展示している物も多くて、半日ぐらい見学したいところである。



宇宙科学技術館の前の広場に置いてあったロケット
私が写っているんですけどわかりますかね
 

その後、ロケット発射台の方へ行ってみる。構内は広く、車で10分以上走る。途中2ヶ所ほど展望台があり、そこから見える景色はロケットの打ち上げのニュースとかでよく見るもので、「ここから撮影されていたのか」と思う。



展望台から見た発射台
テレビとかでおなじみの景色では。
 

駆け足で見学したわりには、ここでは1時間半もかかった。

ここからは島の東側の県道を北上する(国道は西側を通っている)。全体的に平坦な種子島の中でも、このあたりは比較的地形が険しく、道がくねくねしていて思ったより時間がかかる。ということで西之表に戻ってきたのは夕方であった。

宿に着いてしばらくすると、おみやげを買いに出かけた。買い物をしながら店の人から、「冬はいつもこんな感じで風が強い。だからこの時期はロケットが予定通り発射されることはまずない。先週の打ち上げも少し強引であった」という話を聞いた。実はこの1週間前、「日本で初めてロケット打ち上げに失敗」と大きく報道されていた。

 

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