海外の鉄道もの
スイス・ゴールデンパス
スーパーパノラマ特急。
車内で買った絵はがきより。
平成9年の夏、私は2週間ほどスイスを訪れた。
「世界青少年交流協会」というところ(国からの補助金不正事件とやらで数年前解散しました(^^;)
)が主催していた「海外青少年派遣」というもので、当時毎年20くらいあった派遣コースの中から、この年のスイス派遣団の一員として行ったのである。
一行はほとんど私と同年代の17名。
目的が「交流派遣」というものなので、ルツェルン市の市長を表敬訪問したり、グリンデルワルドに泊まって4日間に渡るスポーツプログラムや、3泊4日のホームステイがあったりと、プログラム満載であった。
スイス国内での移動はほとんどバスであった。
ところが、1日だけ列車で移動という日があった。それもその日の予定はただ列車で移動するだけ。
それだけでも私の目が輝こうというものである。
乗ったのはゴールデンパス。直訳すると「黄金の峠」である。コース的にはレマン湖畔の町モントルーから、ツヴァイジンメン、シュピーツ、インターラーケンなどを経てルツェルンに抜けるという、合計約240km。
このうち我々一行が乗ったのは、モントルー
〜 インターラーケン間 であった。
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8時半、泊まっていたモントルー市内のホテルを出発。歩いてモントルー駅に向かう。
モントルー駅構内
右側の列車がスーパーパノラマ特急。
まず乗るのは、モントルー・オーベルラン・ベルノア鉄道(MOB)・ツヴァイジンメン行きのスーパーパノラマ特急。真ん中に電気機関車を挟み、パノラマ車両を前後に2両ずつ連結した5両編成である。
このように、動力を1箇所にまとめるのが世界の鉄道では一般的で、動力を分散させる傾向にある日本などむしろ例外である。
それにしても、前後に展望席があるからとは言え、機関車が編成の真ん中とは珍しい。
我々17名が乗ったのは先頭車両。その車両には定員8名の展望席と、運転台を挟んでその後ろにサロンカーがある。展望席には別のグループがいて、サロンカーは我々が独占である。
9時ちょうど、モントルー駅を発車。
モントルーは、背後の山がレマン湖にせまったようなところにある町で、列車は発車早々いきなりその裏山を登っていく。右に左に急カーブしながら登っていくと、やがて高台の牧草地帯の中を走るようになる。
坂を登る途中で見えた、モントルーの町とレマン湖
ちなみに湖の対岸はフランスである
このあたりの景色は、「アルプスの少女ハイジ」に出てくるような、私が「スイス」と聞くと抱くイメージそのままの光景である。
サロンカーだから、飲み物が出る。それを飲みながら、そういう景色を眺めていた。
車窓からの景色
10:40、ツヴァイジンメン駅到着。高原の避暑地、というような風情の駅だ。
鉄道会社が変わるため、ここで乗り換えとなる。スイス・ゴールデンパスは、合計4つの会社で成り立っているのだが、切符は通しで1枚。それもフリー切符のような扱いである。
ここから乗るのは、ジンメンタール鉄道(SEZ)。3両編成の定期列車の後ろに、我々のために貸し切りの車両1両をつなげた編成である。つまり客車が4両という事なのだが、先頭車両だけ動力車、つまり機関車兼用客車というような車両である。
それにしても、我々が乗った貸し切り車両は1等車であった。切符には「2等車用」と書かれているので、鉄道会社側の特別サービスであろう。
11:10発車。
今度は各駅停車で、ひとつひとつの駅に丹念に停まる。どの駅にも花が飾られている。駅に限らず家々のベランダや窓にも花が飾ってある。景観を大事にする国民性である。
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シュピーツ駅で首都ベルンからの路線と合流。この列車はここからベルナー・アルペン鉄道(BLS)に乗り入れ、トゥーン湖に沿って走る。
12:25、インターラーケン・ヴェスト駅着。「ヴェスト」とは、ドイツ語で「西」という意味で、要するに「西インターラーケン駅」である。
我々はここで昼食をとるため下車した。ちなみに、インターラーケン・ヴェスト駅の次の駅がインターラーケン・オスト駅(今度は「東インターラーケン」という意味)で、ここから先はスイス国鉄(SSB)となり、ルツェルンに至っている。