おまけ編
大邱市民野球場探訪顛末記
２００２年４月、私は対馬と韓国を訪れた。
主目的は、まず対馬の島巡りをすること。その後、海峡を渡って釜山に上陸、韓国国鉄の乗り鉄をするというものであった。
そしてもう一つ目的があった。それは、昨年夏に引き続き韓国プロ野球の試合を見るというものである。
コース的には釜山で見るのが一番理想だったが、日程がかみ合わなかった。韓国のタイガースを見に光州に行くことも考えたが、移動に非常に時間がかかることがわかり、結局釜山に比較的近い大邱（テグ）で見ることにした。
大邱にはサムソン・ライオンズの本拠地・大邱市民野球場がある。当日は、ここでヒョンデ・ユニコーンズとの試合が行われることになっていた。
このため、観戦当日はソウルから釜山に行って、再び大邱に戻るという、かなり強引な行程となった。ホントに野球を見るためだけに大邱に行くような感じである。
そうやって、いざ韓国内に到着してみると、いきなりケチがついた。
というのも観戦予定の４月２３日だけ、天気予報が悪かったのである。２日前になっても、前日になっても状況は同じであった。
特に、前日の天気予報では「明日は本降りになる」ということが強調されていたようだった。
しかも、時間が遅くなるにつれて、かつ南の地方ほど降りやすいという最悪のパターン（この日はナイターで、しかも大邱は韓国内でもかなり南の方の町である）。
そうして迎えた４月２３日。この日泊まっていたソウルは薄曇りで、日も差していた。
まずは朝８時発のセマウル号で釜山に向かう。大田（テジョン）を過ぎたあたりの山越えから、とうとう雨が降ってきた。
お昼過ぎ、釜山に到着。釜山は本降りの雨であった。
約２時間半の市内観光後、再び今度はムグンファ号に乗って大邱に向かった。
ところがここで意外な展開になる。
というのも、このあたりから雨がやんで、沿線の道路なども乾いてきたのである。予報では遅くなるにつれ降水確率があがっていくのだが、あれれという感じであった。
ここで「ひょっとしたら試合はあるのではないか」と考えたのが、すべての間違いの始まりであった。でも、ふつうそう考えますよね。
夕方４時過ぎ、すっかり雨の気配のなくなった東大邱駅到着。駅近くのホテルに荷を下ろすと、さっそく観戦に必要なものだけを持って球場に向かった。もうすっかり試合はある気でいたのである。
大邱市民野球場は、国鉄大邱駅から北西方向に歩いていったところにある。
国鉄や長距離バスのターミナル駅となっているのはとなりの東大邱駅の方。また市の中心部は地下鉄中央路駅付近で、大邱駅はどちらかというと繁華街から外れたひっそりしたところにある。
ちなみにほぼ指定席車しか走っていない国鉄は市内の移動にはほとんど使えない。大邱駅への移動も地下鉄を使うことになる。
手前の三角屋根が地下鉄「大邱駅」駅（だってそういう名前なんだもん）
その向こうで国鉄大邱駅が大工事中
大邱駅の北口を出て（地下鉄の駅もこちらの方にある）、その先にある大通りを西に向かって歩く。このあたり、中小の鉄鋼関係の町工場が建ち並んでいる一帯である。そこをしばらく歩いていくと、やがて「大邱市民運動場」と書かれた緑色の看板、そして球場の手前にある運動場（要するに陸上競技場）が見えてくる。
こんな感じの歩道を歩く
右側に並んでいるのが鉄鋼関係の町工場である
この先の交差点まで行くと「市民運動場」が見えてくる
それにしても、人通りは皆無である。「あれー、どうしちゃったのかなー」と思っているうちに、その先の球場の前にたどり着いた。
やっぱり中止だった。雨の気配なんか全然ないのに、なんでだよ〜。
ひっそりとした球場前
球場前の電光掲示板では、明日の１５時からダブルヘッダーをやるようなことが表示されていた。シーズン終わりの方に消化試合をするのではなく、あくまで予定通り日程を消化しようとするのが、韓国プロ野球の考え方である。だけど明日の１５時なんてもう日本に帰ってるんだよ〜。
ひっそりとした球場周辺
その後、文字通り肩を落としてトボトボと駅に向かった。ゆっくり歩いて１５分で地下鉄駅に着いた。
ほぼ放心状態で地下鉄に乗り、中央路駅で降りて中心街の東城路を散歩。そのへんの食堂に入って冷麺で夕食を済ませ、食後店の外に出たら、雲が切れて晴れ間が見えた。ちくしょ〜。
ホテルには８時頃戻った。テレビをつけたら、なんと光州の試合（キア・タイガース 対 トゥサン・ベアーズ）の中継をしていた。他の球場はやってるじゃんかよ。どうやら、今日中止になったのは大邱の試合だけだったらしい。ばかやろ〜。
くやしいので、その中継をずっと見ていた。その時点で首位を行くキア・タイガース。地元光州での人気はすさまじく、ものすごい応援がテレビを見ていても伝わってきた。しかも試合はタイガースの逆転勝ち。無理を押してでも光州に行けばよかった。あ〜あ。
・・・と言うことで書いていてむなしくなってくるレポートでした。 ハ〜 (-_-;)