十一羽目の鳥
十一の爪で繕う暗い水沈んだ髪の数える時間
風を足すさび色の雲引きおろす道に落とした凍らない指
たしひきの続く木の枝引き抜いて異国の鳥の名乗りを聞こう
月に置く指先引かれた粘る空足し合う色のか細い唸り
ここからと掴んだ指が引き抜いた雲に足された小鳥の航路
はてにある音を落としていく風に十一番目の爪はからまる
今日までとたした皮膚から逃げる水 引かれる音のない窓の闇
吊り上げた空の引きずる花のゆく道に足される時はもうない
あの坂に春の足首引き連れて月にひたした時間を舐める
色を引く足先おびえる窓に寄せ星を飲む間の鱗のひかり
十一の音階裂かれる枝さえも鎮まる朝に髪を濡らす