<Camino de Santiago 第10日目> 

Santo Domingoから、Burgosまで.。


 <第10日目> 6月12日(火曜日) 

261 km 7:40 出発@261km@Santo Domindo de la Calzada アルベルゲ

 ホステラーは、親切なおじさんであった。普通、アルベルゲのホステラーとの接触時間は、夕方のチェック・インから就寝時刻までであったので、数時間がだいたいの相場である。朝8時からの清掃の時間は、通いの掃除人がたいていは来ているので会わない事が多い。しかしここは、昨日の午前中から朝の出発までいっしょであった。まるで日本の民宿並である。何となく、惜別の念も出てくる出発であった。

8:50 トイレ@273km@ Redecilla del Caminoアルベルゲ無人スタンプ  出発してからちょうど1時間、街中に入りBAR発見。タイミング的にはグッドであった。入口のドアは開いているが、食堂へ通じるドアは未だ閉まっていた。入口にスタンプとスタンプ台が置いてある。みんな自分で押してるので、真似てみた。自分でスタンプするのは、今回が初めてであった。

9:30 休憩@277km@Castildelgado  しばらく、小麦の波の畑の巡礼道が続く。風が吹くと小麦の穂が、風の足跡を残し影が波のように黒くなる。まるで生き物である。(植物も生き物であるが、、。)その影が頭からしっぽに達するところ、波がうねり浜に押し流されるところ、そこに1mぐらいの幅の巡礼路、人が通らない時はただの禿跡、そして私が歩く。  路は、現在の区分では、LA RIOJA地方からBURGOS地方に入る。  

10:25 休憩@285km@ベロラド アルベルゲ  中世に於いては、Castilla と Navaraの国境であった。現在ではチロン川の盆地に位置する小さな村である。銀行が街の中心にあり、BARで朝食のついでに両替する。  宿は今、掃除中で、スタンプは自分で押した。誰が置いていったのか、日本製ビタミンーCの顆粒飲料が、数服、箱の中にあった。この日の夜にブルゴスで会った叔母さんによると、この前日は団体客がいて宿はうるさかったそうである。

11:25 休憩@298km@Villafranca de Montes de OCA アルベルゲ  その昔、山道の巡礼路に追い剥ぎが出没した話で有名。そのために救護院として建てられた建物がアルベルゲになったよう。正当派の宿なのであろう。しかし、閉まっていた。  この先、国道を走る。12kmの登り坂@ALT=1200m。

13:25 休憩@302km@峠の頂上らしき休憩所  炎天下の元、最低速ギアで登り続けること数時間、トラック運転手が休憩するような広い路肩で昼食。キウィがおいしい。一気に3個全部食べる。この先は、ジェットコースターのような下り坂と思うと、この数時間の登坂労働も忘れそうになってくる。まさに、喉元過ぎれば熱さを忘れる、である。風を切って国道を下りながら考えた。このまま一気にブルゴスまで行けるであろう。坂道を無事下り終えて、ブルゴスまで10kmの標識が見えた。精神的にも多少の余裕が見え始めたときでもあった。本日はここまでで40kmの走行距離をこなしている。もう宿を探しても「許される」との邪な考えがまたしても頭をよぎった。すると、左へ入るとSan Juan de Ortegaの標識が見える。一応は偵察のつもりで脇道へは行ってみる。

 脇道へ入るとすぐに、昨夜のSt.Domingoに泊まっていた二人連れのオランダ人サイクリストに出会う。彼らの説明によると、この先、途中の道路が工事中。マウンテンバイクで荷物を牽引(ウィンド・サーフィンを引っ張るような長い棒の付いた荷車)しているオランダ人は、「道路が砂利道のなで進めない。」とのこと。いったい、何を言っているんだ、、、。こういう連中がいるから巡礼路での自転車旅行者の地位が下げずまされているのではないか?「問題なし、私は進む!」と言い張って、彼らが戻ってきた路を突き進んだ。確かに、アルベルゲで出会うほとんどのサイクリストは国道を進んでいる。ホタテ路を行く人は1%もいないのではないだろうか?

 この先、San Juanまでの路は、工事中ではあるものの、アスファルトの下地になる砂がローラーで踏み固められたばかりの路であった。注意して進む分には、国道とほとんど変わらないスピードをキープできた。但し、雨が降ったらチョット大変であろう。緩やかなアップダウンを繰り返しながら、方角的には国道を戻るような向きに、かなり長い距離を進んだ。ようやくのことで、山道に入りそうな雰囲気の場所に近づいたときに、小さな古いカテドラルが見えた。喉カラッカラである。思えば2時間以上の間、休憩をとっていない。

  14:50 休憩@319km@San Juan de Ortega アルベルゲ

  またしても、「自転車はダメ」と宿泊を断られる。何故なんだろう、どうしてなんだろう。ここを翌朝早く出れば、ブルゴスをゆっくり観光出来ると思った思惑も吹っ飛んでしまった。田舎の中の、雰囲気の良い宿であった。スタンプだけ押してもらい、全てを諦め、ここまで来た同じ路を炎天下の中、再出発。  

18:50 宿泊@352km@ブルゴス アルベルゲ

 2本の塔がそびえるカテドラルまでは順調に辿り着いた。その後、矢印に従って、カタツムリの背中に沿うように、グルグルと坂を下り走り続けた。高いところから下へ下へと下りきったところに河は流れている。いわゆる、地形の常識である。もっと素直になるべきであった。途中の→をたどると、河の右岸を行ったり左岸に戻ったりの繰り返しとなる。八甲田山のリングワンデリングに近くなってきた。結論から言うならば、"HOSPITAL"と書いた一般標識がアルベルゲのある石壁で囲まれた公園へ通じる入口であった。  ブルゴスの街をグルグルとさまよい歩き続け、やっとのことで宿に到着。かなり後になって気が付いたが、「ブルゴスのAlbergueはサンタ・マリア門の前に流れるArlanzon川に沿って15分ほど歩いた大きな公園の中に有る。」という、森田日記の一節を読んでいれば、宿への到着はあと1時間は早かったであろうに。尚、きちんと食事にありつけるようになってからは、いつのまにか森田日記の有り難さも忘れて、いつもの旅行のように、マイペースで自らの野生にまかせて直感だけで旅をするようになっていた。少しだけ反省したがマイペースは直らなかった。

このあと、森田日記を開くのはサンチャゴ到着時であった。


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