<Camino de Santiago 第16日目> 

Astorga から、Cacabelosまで.。


 <第16日目>6月18日(月曜日) 645km

7:30 出発@645km @ASTORGA アルベルゲ  そろそろ銀行で両替しないと現金が足りなくなりそうである。この先サンチアゴまでは大きな街は無い。銀行はどこでも8:30に開き2時には閉まる。銀行が開くまでの時間、どこかで朝食が出来ればベストのスケジュールとなるのだが、、。朝の空気の中、昨日、宿の門限ギリギリまで彷徨った街を自転車で走るが、お店はみんな閉まっている。出勤前の銀行員や警察官は朝飯はどうしているのであろうか?、と疑問に思いながら、あったらいいな、の気持ちで街の四隅を突っついてみる。あった。出勤前の作業員あるいは夜勤明けの労働者であろうか、かなりの数の人がいた。銀行のすぐ裏の路地に開いている一件のBARがあった。しかも、こんなに朝早いのに、カウンターのガラスケースの中にはトルティージャが並んでいる。しかも、うまい!、安い!

8:40 Banco@648km@ASTORGA  開店と同時に銀行へはいるが、両替はとなりだ、と、あっさりあしらわれる。日本円で2万円を両替する。どうもレートがこれまでで一番悪い気がする。しかし、とりあえずはこれが最後のスペイン・ペセタへの両替であろう。10分で済ませてくれたのに感謝すべきかも。

9:40 Re-start@654km @ASTORGA

 アストルガの街から山道の巡礼路への標識は間違っている。確かに、鉄プレートの標識の上にスプレーペイントで消した跡があるのは見たが、地図から見ても、Ponferradaは国道をまっすぐ行けば通じると考え 国道の道路標識に従って、Ponferradaを目指した。久しぶりのアスファルトの路であった。登りのあと長い下り、快調に飛ばした。

 アストルガを出るところ、モーテルらしき建物が見えてきたところでチョット休憩していると、後ろから来る車の運転手が、「この路はカミノではない!」と大声で教えてくれた。道路標識は合っているのだが、、、。従って、今来た国道を引き返し、再びアストルガの出発点へ。ちょうど1時間のロスタイムである。

10:15 通過@668km @El Ganso  このあと、ずっと登り。標高800mから1200mまで約400m差。山奥の僻地を歩く感じで乾いた路は続く。時折出くわす、白い土壁の村の家々が、灼熱の台地の中で僅かながらの涼を与えていた。

11:00 Rest@675km @ Gauselmo アルベルゲ  ラバナル・デル・カミノのアルベルゲに立ち寄るが3時まで閉まっていてスタンプももらえない。ほとんど廃村に近い、土壁の集落を抜けて、どんどんと山道に入って行く。村の入口に、ワインも売っている場違いなスーパーがあったが、通り越してしまった。チョット残念。

12:30 Rest@681km @Matebanero手前7km  乾いた砂利道が終わる頃、緑豊かな高原の休憩所があった。水場は無いが日陰とベンチがあった。昼食は缶詰と温いワインで簡単に済ませた。このあとは、日陰のない峠を登るだけのアスファルトの路が続く。峠の手前で自転車を押しているところへ、スペイン人単独髭面自転車人が追い越して行く。「この程度の坂なら漕げる!」とでも言っているのであろうか、私の自転車と同じように、それほどの高級車ではないが、低速ギアで回転の数が多く登っていった。しかし、その先しばらく行くと、疲れ切ったように道ばたで休んでいた。彼はこの先、3日間に渡って、忘れた頃に出くわした。そのたびに、お互い、「また、おまえか!」を連発し合った。あだ名は、Mr.Animalと名付けることにした。幼年期に見たテレビ漫画に、「チキチキ・マシン猛レース」なる番組があったが、かれはその中に出てくる、ケンケンのような存在であった。

13:50 Picture@703km @Molisenaka カテドラル

 上り坂が終点に達するところ、それが峠である。「長い長い上り坂、この先いつまで続くやらあ?」、と思っていても必ずやってくるのが峠である。そしてまた、目的地へ行くにはどうしてもとおらねばならない場所、それが峠である。いくつもの峠を越えて、、、。いつものテーマだ。そして、この夏、スペインの西のハズレの山道で再現されている。嬉しくなってくる。アスファルトの国道を下るが、自転車は快適を越えて恐怖にさしかかっていた。アスファルトには所々に窪みがあり、曲率の短いカーブが連続してあった。直線が長く続く部分では、これまで経験したことのない速度が表示される。路面に注意するあまり、スピードメーターに目をやる余裕はないが、たまに見ると時速60kmを越えていた。途中、Mr.Animalを一気に抜き去り、彼はついて来れなかった。キチガイ日本人と思ったであろうか、あるいは一昨日レオンのホテルのテレビで見たバイクレースで優勝した日本人レーサーのことを思ったであろうか、定かではない。  快適に国道を飛ばして下っていて、こんな大切な場所を通り過ぎそうであった。平地にさしかかる頃、Molisenaka カテドラルに到着。水場もあった。静かな街である。これまでの”灼熱”のイメージとも異なり緑にあふれていた。

14:40 Cafe@711km@Ponferada @ BAR   とりあえず、Centro Ciudad を目指す。BARがたくさん立ち並ぶ大きな街であった。Centro Ciudad にはカテドラルや旧所名跡があるのが普通だが、ここは市庁舎になっているようである。長居は無用。BARで喉を潤した後、すぐ隣のパナデリアでボカディージョと揚げパン(どちらも最高にうまい!)を買って出発。特にガリシアに入ってから食べ物のうまさに感激する毎日が続く。

 また、ここで自転車の更なるチューンアップを思いつく。「冷蔵庫を装備した自転車」、と見せびらかしたときに、「流石、日本人」と言ってくれるであろうか?本人としては、”MTBガウディー仕様”と真面目に粋がってはいるのだが、見ている人には解らないであろう。スペインの都会のスーパーでは、魚の冷凍を売るコーナーに凍らせた、果汁100%のオレンジジュースが売っている。セールスポイントは、「濃縮還元ではない! Narranjada(オレンジエード)でもない。Narranjasである。」と書いてある。これを自転車のフロント荷台に入れて、その下に果物・ワイン・野菜を入れ、更にその下に断熱用のカッパを敷く。炎天下でも、5時間は冷蔵庫が保たれる。ガウディーも考えなかったアイデアであると思う。どうだ、参ったか?

15:30 Rest@714km@Castillo de Ponferada

17:40 到着@730km @ Cacabelos アルベルゲ

 とにかく日差しが強い。刺すように暑い。今日は無理してVillafrancaまで行こうとも思っていたが、国道沿いにCacabelosのアルベルゲ、しかも公営を見つけて泊まることに決定。まるで、アメリカのモーテルそのものである。2人部屋の個室が50戸以上ある、平屋建てのアルベルゲである。食堂や洗濯機は無いが静かな夜が約束される。パートナーのいない私は一人部屋であった。夕暮れ時、といってもまだ真昼の空は、ガリシアン・ブルーでくっきりしていた。

20:30 夕食 @ Cacabelos アルベルゲ   村に入るところのパンやで買った二グロ(外は堅いが中は柔らかい塩味の効いた大きな丸い黒パン)と野菜サラダをベンチで食べているところへ、カナダから一人で来ているおじさんが話しかけてくる。彼によると、カナダ(サスカッチュアン)ではどこの企業もリストラの真っ最中で、50代半ばの彼はリストラにあたって5週間の休暇を突然支給されたそうである。ハンガリー人の両親を持ち、東洋文化に敬探する彼は漠然と、中国に行きたいと思っていたが、ほんの弾みでイギリス経由でスペイン巡礼路に辿り着いたそうである。予備知識は全くなしらしい。チケットも途中で人にもらったり、距離感についてもデタラメであったら。いろいろと迷った末にブルゴスから始めたそうである。  彼はいわゆる、「気孔」を信じる一派のようである。これから、近くの河(Cua川)へ行って気を吸ってくるとの事である。


 【Schedule】 <第17日目> <Special Thanks> <Arriba BICI> <Reference>【Packing List】