<Camino de Santiago 第5日目> 

ロンセスバイエスから、IRUNA(パンプローナ)まで.。初めての都会だ!。


 <第5日目> 6月7日(木曜日) 27 km

6:00 起床@ロンセスバイエス   日の出前のまだ暗い中、懐中電灯の明かりで自転車の荷造りを行う。70リットル・メインザックの両脇についている小物入れ(サイドバッグ)を自転車の前カゴに移植する。2リットルポリタンクをワイン専用の水筒として右側に入れる。左側には、コッヘルと行動食を入れる。背中に背負うメインザックを少しでも軽くするためである。この大きなザックを後ろの荷台に付けられればかなり楽になるのだが、大きすぎて現在の荷台ではバランスが崩れてしまい、自転車走行が危なくなるので背負うことにした。

 巡礼路は、快適な下り道であった。数十人の巡礼者達を軽快に追い越して進んだ。昨日とは大違いである。しかし、寒い。高地のためか、昨日の晴天の後の放射冷却現象のせいか判らぬが、冬のように寒い。たまりかねて、ブルゲーテ手前でズボンを履く。

7:50 33km@ブルゲーテ村 通過  ヘミングウエイの小説「日はまた昇る」の縁の地、として有名になった村である。マドリッドのレストラン。ボティンのようなはでな看板などは無く、ひっそりとした村であった。また、朝日の射し込むこのタイミングもまた良かった。

 前を行く、ロバ連れの巡礼者が小さな木の橋を渡ろうとしていた。写真を撮りたくなるような優雅な姿であった。しかし、ロバが橋の中間にさしかかった時、バランスをくずしたのである。ロバは河に落ちなかったけれども、ロバの背中の大きな四角いマット(この中に荷物も入れている)は水に入った。馬主もすかさず水へ飛び込み、荷物を拾っていた。優雅な姿から一変したほんの一瞬の出来事であったが、まさに中世さながらの風景なのであろう。

8:10 33km@ BAR Toki Aho  今朝出発してから店はあったが、初めて開いて(abbierto)いた。ほっとする。しかし、これは暖かい飲み物と胃袋を満たす食べ物にありついてから思うべきである。店が開いているだけでは未だ早合点である、、。

 歩きの巡礼者は、6時には大多数の人々が出発しているために、朝8時は、1本目か2本目のちょうど朝飯時である。手袋をはずし、店の中にはいると、20人位の人だかりであった。食事は、カフェとトーストだけである。が、だいたい、こんな小さな街のしかもこんな朝早くに、20人分のトーストをたちどころに提供してくれるお店があるハズがない。またしても、「食べ物にありつけないのでは?」と思う被害妄想が頭をよぎった。しかし、遅すぎる私の到着(休憩)は、念願の暖かい食べ物にありつくことが出来たのである。めでたし、めでたし。  →        8:35 出発    

9:20 36km 登りも下りも押して国道へ出る  山道を歩き続け、明るい国道に出る。右に左に曲がりくねりながら国道は上下に続いている。巡礼路はその間を短距離で結ぶように走っているのが、この場所からは見える。ここで、ホタテ路へ戻るのを断念し国道を初めて下る。

9:35 39km ビスカレッタの街

9:55 44km Erro村  森田日記を読んで、初めに目が止まった文章が書かれてあった街である。急な登り下りの続く道なので、民家の軒下(スタンドの無い自転車を止めやすいし、日陰でもある。)で休むたびに、山際を眺めては、日記に書かれてあった風景を思い浮かべた。

10:25 44km この先ずっと登り坂  ようやく、自転車という乗り物に慣れてきた感触があった。登り坂ではすぐに諦めて押すのではなく、低速ギアでかなり粘れるものであることを知る。この時、私の脳裏には何故かこのBGMが流れていた。「マ・マ・マ・マイシャロナー、、、」ではなく、「パ・パ・パ・パンプローナ」。これは都会に行けると思う私の深層心理の働きか、それとも疲労が極度に達した際に起こる、自律神経の異常か?いずれにせよ、大脳はあまり関係していないのではないかと思った。

10:50 53km Zubiri  パナデリア発見  ボカディージョ(スペイン風、フランス風サンドイッチ)に使うパンは、おいしいが、堅いのでたまに口の中が切れて口内炎のようになってしまう。なるべくなら、クロッサンを食べたい。あった。あとは、生ハムとワインとチーズである。

11:45 65km 国道脇の休憩所(水場・トイレ有り)  いまから考えるに、ここで再び巡礼路に戻るのが正解だったのであろう。炎天下の中を昼寝しながら登り坂の巡礼路を見ていると、自転車を押す自分の姿までカゲロウのように浮かんで見えてしまう。「どうせ街に入るなら国道でも同じ。」、と思ったのが間違いであった。 13:30 →昼寝の後出発

14:00 72km 遂にパンプローナ入口到着  どうもアルベルゲが見あたらない。"Es que el Camino de Santiago?"と聞くと、「その通り」と答えが返ってくるのが5人中4人。全く知らない人もいるようだ。しかし、アルベルゲの場所まで知っている人はいなかった。なんだか、とても暑くなってきて疲れてきた。完全に街の中心へ来てしまった。旅行会社の隣りに、Wall Street Institute と称する英会話学校、いわゆる日本のNOVAである。どんな人が通っているのであろうか?ベンチに腰掛けて地図を見る。町中では、大きすぎて使い物にならない。

15:30 83km Pamplona RENFE  何と目立たない駅だ!。これがあの牛追い祭りで世界的に有名な駅か?道に迷ったら、あるいは何かを探そうと思ったら、まずは自分の現在地を知るのが初めである。RENFEか、Centro真っ先に思い浮かぶ。 地図やTURISMOもたいていはここにある。でも、アルベルゲは見あたらなかった。諦めて、パンプローナを出る。街をでると4kmほどで、Cizurへ曲がる標識(黄色いやじるし→ではなく、黒文字の道路標識)を発見。(ちなみに森田日記ではこの標識を見落としたようである)

17:00 90km Cizur Menor アルベルゲ到着  

なんときれいな宿だ。まるで、軽井沢のペンションのような感じを入った瞬間に受ける。ロンセスバイエスの山小屋(風格はあるものの)とは大違いである。シャワーもお湯が出る。100Ptsでビールも買えるし、60Ptsでカフェの自動販売機もある。スーパーやレストランが遠いのが唯一の欠点のようであるが、食料をたっぷり持っている私には何の問題もなかった。ブラジルから来ている青年に、巡礼路のガイドブック(ほとんどの人が持っている白い表紙に赤い文字)を見せてもらい、インターネットの打ち出し紙に、翌日コースの足りない情報を書き写した。  本日の夕食は、フカヒレスープに、昆布の佃煮。それに、ごま塩のご飯何とうまい!まだ日本食が恋しくなる時期ではないが、あればうれしいものである。

*注)スペイン牛追い祭りで有名なパンプローナであるが、バスク語では、IRUNAと書きイルーナと読む。土地もバスクに属するので、バスク語が正である。


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