長崎県対馬地方と大韓民国編

旅行第3日目 その1

早朝、釜田(プジョン)駅へ

今日は、韓国国鉄で最長距離を走る鈍行列車(トンイル号)に乗ってソウルへ向かう。ただそれだけの1日である。

その列車の始発駅は釜山駅ではなく、少し離れた釜田(プジョン)という駅。その駅のすぐ近くに地下鉄の釜田洞(「洞」とは、日本でいうところの「町」という感じである)という駅があり、釜山駅からそう行くことを考えていたが、よく調べたら国鉄にも近距離の鈍行トンイル号があることがわかった。時刻表によれば主に朝夕の通勤用に走っているようなダイヤである。

ちなみに韓国では鈍行≒トンイル号なのだが、ソウルと釜山の近郊以外は各区間数えるほどの本数しか走っていない。その他の大多数の列車は特急に相当するセマウル号と急行に相当するムグンファ号だけである。

目的の列車はその釜田駅を6:25に出発する。
そのため、朝5:15に起床。5:40にホテルをチェックアウトし、近くのセブンイレブンで今日の朝昼2食分の食料を買って釜山駅へ行く。
最初に乗るのは6:00発の海雲台(ヘウンデ)行き。いくつもある切符売場の一番右側がトンイル号専用の窓口になっていて、ここで釜田までの切符を買う。海雲台まで値段が同じらしく、駅員が売ってくれたのはそこまでの切符であった。



ということで釜山→海雲台の切符。
実際には釜田まで乗車。
 

この駅でも改札口はホームごとに分かれていて、その8・9番ホームへ行く。停まっていたのはディーゼルカーの5両編成で、昨夏ソウル周辺でさんざん乗った車両と同じである。



こういう車両。昨夏さんざん乗りました。
 

釜山を出発すると、すぐに釜山鎮(プサンジン)駅。ここがかつての釜山駅で、ここ発着の列車もある。その後、片面だけホームのある凡一(ポムイル)駅。そこから、幹線の京釜線と分かれて単線の東海南部線に入る。すぐに京釜線からの短絡線が近づいてきて、釜田駅に着く。釜山駅からの所要時間はわずか12分。

 

トンイル号1222列車

釜田駅は、側線が多くて構内が広い駅であったが、ホームは1面しかない。私が着いたホームの向かい側にはすでに目的のソウル・清涼里(チョンニャンニ)行きのトンイル号1222列車が停車していた。

切符を買い直すため、一度駅の外に出る。この駅自体まだ釜山の町の中にあるが、駅舎は小さい。



釜田(プジョン)駅
 

ここで、「釜田→清涼里」の切符を買う。釜山からソウルまで、特急のセマウル号で行けば4時間半以下で行くところをこの列車は12時間半かけて行くわけで、こんなマニアックなことをする人は少ないだろうから何か言われるかと思ったが、窓口の人はきわめて事務的な対応であった。しかもちゃんと硬券切符であった。
ちなみに乗車時間12時間半で10,000ウォン(約1,000円)。物価の違いはあるにせよ、これだけ乗ってこの運賃は安い。



釜田→清涼里の切符。
ちゃんと印刷された硬券ですが、どれだけの需要があるんでしょうかね。
 

このトンイル号は、幹線の京釜線ではなく、ほぼ全線単線の東海南部線と中央線をひたすら走ってソウル方面へ向かう鈍行列車である。
編成はディーゼル機関車+貨車2両+客車5両+電源車という編成で、始発からけっこう乗車率がよい。この先蔚山(ウルサン)や慶州(キョンジュ)など大きな町があるのに列車の本数が極端に少ないせいもあるのかも知れない。
客車はどれも転換クロスシートだが窓が開かず、暖房が効きすぎていて暑くてしょうがない。ちなみに車両両端にある出入口は手動で、走行中も開けっ放し。日本も昔はこんな車両だった。車内は禁煙でデッキが喫煙スペースとなっており、このあたりは海外の列車でよく見るパターンである。



釜田駅にて出発前

 

6:25、定刻通り出発。しばらくは釜山の町が続く。鈍行列車らしく、短距離列車用の小駅を除いて全駅に止まるが、駅に停まるたびにゾロゾロと客が乗ってきてどんどん混んでくる。ハイキングに行くような格好の人も多い。いずれにしても、想像していたのとはかなり様子が違う。出発してしばらくすると、かなり濃い霧が出てきた。

6:50、海雲台(ヘウンデ)を出るとようやく町から抜け、しばらく海沿いを走った。主に山間部を走るこの列車が唯一見る海沿いの区間である。
この後、いかにもハイキングコースがありそうな駅でハイキング客が少し降りたりする。

8:06、蔚山(ウルサン)着。駅が町はずれにあるのか、大きな町という感じのない駅であるが、乗り降りは多い。サッカーワールドカップの試合が行われる町らしく、ホームには出場チームの旗が並んでいた。

8時半ごろ、霧がとれて晴れてくる。外は涼しいという感じ(ドアが開きっぱなしのデッキにいるとわかる)だが、窓の開かない車内にいるとムシムシする。何とかならんもんかと思う。


 

8:59、慶州(キョンジュ)着。有名な観光地のある大きな町の駅で、ここも乗り降りが多い。それにしてもここまで来てもまだ車内の乗車率は多い。



慶州駅に入線するところ

 

列車は慶州から東海南部線と分岐し、中央線に入る。これから終点の清涼里までひたすらこの中央線を走るのである。
両線の分岐は駅の構内ではなくその先の三角線となっている。韓国ではこのように路線同士の分岐地点は三角線になっていることが多い。慶州駅を出発するとその先の信号場で2手に分かれ、しばらくすると反対方向からの線路と合流する。

9:51、永川(ヨンチョン)着。この先にも大邱線との分岐となる三角線がある。
外はすっかり天気がよくなって車内もかなりムシムシしてきた。しかし、車内の空調は送風になっているだけである。私のバックにつけている温度計はなんと32℃を指している。この時点で車内はまだかなりの乗車率なのだが、みんなよくじっとしているもんだと思う。私はドアが開けっ放しのデッキで涼むことが多かった。
時たま車掌が車内を見回りにやってくるのだが、ここでさすがに暑いと思ったのか、ようやく冷房が入った。車両ごとの空調制御になっているのである。

 

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