離島シリーズ
長崎県五島の島々

 

●奈留島(なるじま)

五島列島で一番大きい福江島と2番目の中通島のちょうど中間にある奈留島。島全体が奈留町という町であったが、ここも平成16年8月に福江島、久賀島の市町と合併して五島市になった。
長崎からのフェリーが1日1便寄港し、あとは福江島と5〜6便船の便がある。この福江から来る船が、おとなり若松島と中通島の郷ノ首港まで行っている。

中通島の有川からバスに乗って郷ノ首までやって来た私は、ここから若松島・奈留島経由福江島行きのフェリーに乗った。現在は郷ノ首まで来るのは高速船のみで、フェリーは若松島止まりとなっている。

そもそも郷ノ首という集落が、小さな入江の付近に家が十数軒集まっているだけのところで、待合室は港に置いてあるコンテナ1個。
しばらくすると、ワゴン車が1台やって来て、切符を売る。近所によろず屋さんが1軒だけあって、いちおう菓子パンを購入。
何というか、素朴すぎる。まあ、こういうのを味わいたくて旅に出るわけですが。



郷ノ首港にて
 

フェリーがやって来た。いちおうカーフェリーだが、この手の船ではかなり小さい部類に入ると思う。船内は漁船を大きくしたような雰囲気で、ジュースの自販機があるだけで売店とかはなく、さっき菓子パンを買っておいて正解であった。

 

途中若松島を経由し、1時間20分ほどで奈留島の浦港に着いた。

なにしろガイドブックにもほとんどふれられていない島で細かい地図がなく、宿もどこにあるかわからない。その数少ない宿に港から電話したら、迎えに来てくれた。



奈留島・浦港のフェリーターミナル
 

ひとつの町であったくらいなのでそこそこ大きな島なのだが、観光地化もされておらず、島にはレンタカーもレンタサイクルもなーんにもない。宿の主人は思案したあげく、迎えに来てくれた車を貸してくれた。

奈留島は多くの半島と湾からなっているヒトデのような形をしている。港から、集落の中をしばらく歩いていくと、もう島の反対側の湾に出てしまう、それほどいびつな形をしている。
おまけにかなり起伏に富んだ地形をしているので、島を1周する道路とかは、物理的にできにくい。というより、地形的に半島の突端まで道をつくれない感じである。

そういうわけで、島の東側は車でちょっと走ってみるといつの間にかひとまわりして元の場所に戻ってしまい、一方西側は先の方まで1本道。その途中にはかなり貯水量の少ないダムがあった。この島も水不足で夜間は断水していた。

島で一番高い地点が城岳展望台というところ。すぐ下に島の中心・浦集落が見え、となりの若松島、その向こうの中通島、反対側の久賀島と、距離的にあまりないのですぐ近くに見える。



城岳展望台から中通島方面を見たところ
 

泊まった宿は港に面していた。3階建てで、1,2階が客室、3階が宿をやっている家族の住居。1,2階の客室はどれもすごく大きく、案内されたのはなんと3階の子供部屋であった。この部屋の主は就職して福岡に行ってしまったとのことで、私のような1人の客はこの部屋に通すらしい。とは言っても家具とかはそのままで、親戚の家に泊まりに来たような感じであった。

翌朝は6:55に出航する福江行きの汽笛で目が覚めた。次の船の出航が11時で、それまで集落内のすみずみまで散歩した。町にとってははごく普通のウィークデーなので、のんびりかつ静かであった。
そこでここでも島内バスにでも乗ろうかと思ったが、ここのダイヤは朝各方面に散らばって帰ってくると、そのまま昼までお休み、となっていて、乗ることができなかった。ちょっと残念。

 

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