離島シリーズ
北海道・日本海側の島々

 

●礼文島(れぶんとう)

真ん丸い利尻島に対して、こちらは南北方向に細長い形をしている。最高地点は標高490mの礼文岳だが、こちらの方は山が海に突きだしているような感じで、地形は険しい。島内の道も島の東側を通っているのみである。一方、島の西側は景色の良いハイキングコースである。
ちなみに島全体が
礼文町という町である。

 

鴛泊から40分ほどで礼文島の香深港に到着した。利尻島と同じように、各ホテルや民宿などの出迎えが岸壁にたくさん来ていた。
今日泊まる民宿の若だんなはすぐ見つかった。「これからどうするつもり?」と聞かれたので、「いちおうこの辺を歩こうかと・・・」というと、「じゃあ、ここから桃岩〜元地灯台〜知床とまわるコースを歩いてみるといいよ。2〜3時間くらいで宿に着くと思うよ。大きい荷物は持っていってあげるから」
あっさりその通りにすることにした。

香深の町から30分ほど登山道を登っていくと、桃岩展望台に着く。早くも島の反対側の海岸線が一望できるところである。
ここからすぐ海岸に降りていったところに「桃岩ユースホステル」というのがあって、ここに泊まった者が島から帰るときには、この山道を歩いて港に行く「おきて」になっているらしい。桃岩展望台までの登山道では何人ものそういう人たちとすれ違った。



桃岩展望台から北方向を見る。
島の西側の海岸線である。
 

桃岩展望台からは地図で言うと南方向に、山の尾根づたいに歩く。右手には崖下に海が見え、振り返ると向こうの方まで断崖が続いている。左側にはなだらかな大地に低い木が生い茂っている。意外にアップダウンが多いコースで運動不足の身にはこたえるが、そんなことはどうでもよくなるくらいの景色である。
途中の元地灯台からは海岸線から離れ、一面熊笹の生い茂った中を2kmほど歩くと、知床という海沿いの集落に着く。ここからは海沿いの香深に向かう車道を15分ほど歩いて、奮部というところにある宿着。ちょうど私の足で2時間半くらいだった。宿の正面には利尻島が見えた。



宿の正面玄関より。
利尻富士が逆光で見えてます。
 

ちなみに、香深を早朝出て7時台に島の北端スコトン岬に着く路線バスに乗り、スコトン岬から島の西側のハイキングコースを歩いて桃岩展望台の下の元地海岸に着く「8時間コース」がスタンダードなハイキングコースなのだそうだ。


翌日は香深で原付を借りた。
まずは昨日行った桃岩展望台の下の元地海岸へ。ここには地蔵岩という妙な形をした岩がある。ここが「8時間コース」の終点とのこと。
そこから桃岩展望台へ。昨日はあんなに苦労したのに、原付だとすいすいである。

香深に戻ると、そこから一気に北端のスコトン岬に向かった。距離にして30km近くあり、途中の礼文空港に寄ったりしたせいで1時間以上かかった。
このスコトン岬の先には、平べったいトド島が見える。ここもかなり最北端に近いのだが、わずか数キロの差で宗谷岬の方が日本最北端である。



島の北端・スコトン岬
正面に見えているのがトド島。
 

この日はたったこれだけのことしかしていないのに、香深に戻ってきたのは夕方4時近かった。この島には夏期は朝、昼、夕方と3便稚内行きの船が出ていて、その夕方の船に乗って島を後にする。
私はたまたま朝も昼も香深にいたので、それらの船の出航も見送っていた。着いたときと同じように、たくさんの見送りが来ていて、紙テープが舞っていた。
さすがに最終便となると見送りの人も減っていて、さっきの「桃岩YH」と私の泊まった民宿の人たちしかいなかったが、出航して見送りの人間が見えなくなるまで甲板のところから港を見ていた。最後の最後に来て印象深い出来事である。



香深港を出航

 

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