離島シリーズ
北海道・日本海側の島々

 

天売島から船に乗って羽幌に戻ってくると、次の目的地、利尻・礼文に行くため稚内へ向かった。
羽幌から幌延経由豊富行きの路線バスに乗る。バスは2日前の引き続きで日本海に沿った国道232号線を走る。車内ではNHKラジオが流れていて、特にあの「昼のいこい」ののんびりした音楽が沿道の雰囲気にはまりすぎていた。途中からは海沿いから離れ、サロベツ原野の中を走る。
約2時間走って、幌延駅着。さらに30分ほど走って、終点豊富駅に着いた。
豊富駅からは宗谷本線の鈍行列車に乗る。ここから稚内までの景色は、鉄道の車窓としては私が好きなところのひとつである。

朝の10時前に天売島を出て、稚内に着いたのは夕方であった。


これから向かう利尻島と礼文島には稚内港からフェリー、また稚内空港からDHC−6型という小型飛行機が飛んでいる。いずれにしても稚内が起点になっているのだが、利尻島については夏期の観光シーズン時のみ、千歳空港からジェット機が飛んでいる。
また私が訪れた当時は小樽から利尻・礼文にやって来るフェリーがあったが、現在は廃止になってしまっている。


●利尻島(りしりとう)

稚内で1泊した翌朝は土砂降りの雷雨であった。仕方なく町から歩いても7〜8分しかかからないフェリーターミナルまでタクシーで行く。
フェリーターミナルはかなりにぎわっていた。観光客も多いが、地元の人もかなり多い。



稚内港フェリーターミナル
雨が小降りになったスキに撮影。
 

雨の中出航。湾内は海も静かであったが、湾から出るとはっきり言って荒れていて、船はけっこう揺れた。
このせいだろうが、船は定刻より15分遅れ、稚内から1時間50分かかって利尻島・鴛泊(おしどまり)港に入港した。幸いにも雨はやんでくれた。

利尻島は中央に標高1,721mの利尻富士がそびえる丸い島。山の中腹から上が海から出ている、と言ってもいいくらいである。
ほぼ真ん中を境に
東側が利尻富士町西側が利尻町となっていて、鴛泊はそのうち利尻富士町の中心地。ちなみに利尻町の中心地が沓形(くつがた)というところで、かつての小樽からやって来るフェリーはこちらに寄港していた。

鴛泊港に着くと、すぐにフェリーターミナル内の観光協会に行って、レンタカーの手配をした。しばらくするとレンタカー会社の人が車でやってきて、鴛泊の町内にある営業所(とは言ってもただの金物屋さん)まで行って手続きし、出発する。まず港へ行くと、今乗ってきたフェリーが折り返し稚内に向けて出航するところで、それを見送った。

港を出ると1周道路を時計回りに走った。この島の幹線道路は1周道路のみでわかりやすい。



海岸線沿いをドライブ
 

道はほとんど海沿いの景色のよい道で、30分ほど気分よく走っていると、鬼脇という集落がある。その昔、現在の利尻富士町と合併した旧鬼脇村の中心地で、当時の村役場(いまだに門には「鬼脇村役場」と書いてある)が郷土資料館になっている。

そこから5分ほど走るとオタトマリ沼。ここで「ウニのバター焼」なる珍味を賞味(うまかったー)。
さらに10分ほど走って利尻町に入ると島の南端・御崎公園と利尻町立博物館がある。しかし海が荒れていて御崎公園には波が飛んでくるし、博物館も休館日であった。

そして15分走ると利尻町の中心地・沓形に着く。今日の宿はここにとっていて、荷物を置くために立ち寄った。
沓形からは少し寄り道をして、町役場の横の道を入って利尻富士の3合目にある見返台天望台に行く。眼下に沓形の町や、その向こうに礼文島が見えるのだが、肝心の利尻富士は雲に隠れていた。



見返台「天」望台から見る礼文島。
少し見にくいけど左端に沓形の町が見えている。
 

沓形から15分ほどで島を1周し、鴛泊に戻ってきた。ここでも登山道の途中にある甘露泉水の水源に行ったりした。ここは駐車場から20分ほどハイキングしたような場所であった。

フェリーで着いたのもレンタカーを借りたのも利尻富士町の鴛泊だったので、この日の宿はそれに対抗して利尻町の沓形にした。
レンタカーを返すと、沓形に向かうべく路線バスに乗る。利尻島内の路線バスは、沓形にある営業所を中心に、時計回りと反時計回りの1周する系統が走っている。その大回りの時計回り路線に乗った。つまり島をもう1周しだしたわけである。
こういう地元の路線バスに乗るのは楽しいことである。1時間10分ほど走って、沓形に着いた。


翌日はうって変わって快晴であった。朝食をとっていると宿のおじさんが「今日は利尻富士がきれいに見えますよ」と言うので、さっそく近くの沓形岬に行って利尻富士を眺めた。そういえば雲ひとつない利尻富士を見るのは初めてであった。ただし逆光だった。

沓形からは再び路線バスの時計回り系統に乗った。こちらの方は近いので、30分ほどで鴛泊港に着いた。

これから向かう礼文島行きの出航まで時間が有り余っているので、近くのペシ岬へ行ってみる。海に突きだした小高い丘のようなところであったが、そのてっぺんからは港内とその向こうの利尻富士が一望できる。ちょうど昨日も見た稚内行きのフェリーが出航していくところであった。



ペシ岬から見る鴛泊港とその向こうにそびえる利尻富士
ちょうど稚内行きのフェリーが出航していくところです。

 

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