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 2)分裂的不統一・・・これは、集団の中にいくつかの派閥があって、それぞれの派閥
の内部では意思の統一がなされているけれども、集団全体として見ると、統一されていな
い、という状態である。この種の不統一が進行すると、集団はいくつかに分裂する。派閥
の形成に関しては、イデオロギーの違い、性・年齢・人種・経歴など固定的な諸属性の違
い、友好的面識関係の違いなど、いろいろな媒介的要因があるが、それぞれの派閥が帰属
意識の強い非公式集団であることは共通している。
 3)分権的不統一・・・集団が組織化されて、いくつかの部分集団に分けられ、それぞ
れにたいして権限の委譲がなされると、各部分集団は許された権限の範囲内で自由な行動
をするようになる。その場合、目的の共有やコミュニケーションが不十分であると、集団
全体の統一が乱れてくる。この種の不統一において、各部分集団内部の統一性が高い場合
には、様相が分裂的不統一に似てくるが、部分集団相互間に分業関係があるので、対立は
しても分裂はできない、という制約がある。
 4)階層的不統一・・・組織体では、各部分集団の支配者たちが集まって、上層グルー
プを形成する。その上層グループの結束が弱いと、分権的不統一になるが、反対にその結
束が固いときには、階層的不統一の可能性がある。上下の対立の原因としては、寡頭政治
にたいする反感、利害の対立、差別への不満など、いろいろのものがありうる。上下の対
立が露骨になると、双方の階層が派閥に似てくるが、この場合にも、対立はしても分裂は
できない、という制約がある。
 以上のようにさまざまの不統一があることは、人間の集団を統一することの難しさを示
しているといえよう。


(2)支配
 規範をそれの設定主体に着目して分類すると、集団内部で成員自身によって作られる自
律的規範と、外部から集団に与えられる他律的規範に分けられる。現実にはどの集団にも
両方があるが、理論的には前者だけの自律的集団と、後者だけの他律的集団を対立させる
ことができる。結社は自律的であり、官僚制集団は他律的である。集団のタイプがそのど
ちらであるかによって、支配の性格が大きく違ってくる。




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