南口から上り始め、寒々とした空気の中に、赤や黄色の落ち葉を真っ白に塗りつぶした頂を見るとき、秋の終わりを初めて感じ取った。今年の9月の終わりの大雪山に始まり、日光、茶臼岳、塩見岳、平尾台、由布岳と、紅葉前線を追いかけるように、大陸を渡る鶴たちのように、南へ南へと駆け回り下ってきた私にとって、目を覚ます一撃であった。季節は冬なのである。時はもう過ぎている。霧氷の頂を越え、もっと先にそびえるであろう真白いピークを目指して歩き続けた。厚い雲が頂上を流れた後に、視界が一瞬開けた。求めていた風景であった。
真っ白な山々を背中に独り占めにして帰路に就くとき、私の頭の中では悶々としたものが吹っ切れ、一つの結論に達していた。正月は屋久島に行こう。
久住山:南面より頂上付近(1月)
【久住山入口】【平尾台のススキ】【真鶴一万羽】【釧路の丹頂鶴】【飛び立つ】