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■2001年12月16日〜12月31日


12月31日(月)
 今年はありがとうございました。
 まだ、しばらくこのサイトは続きます。
 来年もよろしくお願いします。
 よいお年を。


12月29日(土)
 久しぶりにスクウェアドリームファクトリーTOBAL2』(PS)をひっぱり出して遊んでいます。コンシューマー史上最強の3D格闘ゲーム(私見)の名は伊達ではありません。1997年発売のゲームなんですが、今遊んでもまったく色あせておらず、とにかくおもしろい! 使用キャラはグリンチャコ。グリンはロイヤルサマーからの空中コンボと、様々な技から派生できるジャストフレームの連携が最高! チャコは、伏勢虎からの強力な2択攻撃と当て身、3段攻撃が決まったときの爽快感が最高! しかし、開発したドリフはといえば、その後、『エアガイツ』(1998年発売)→『バウンサー』(2000年発売)という迷走ぶりで、恐らく『TOBAL3』が作られることもないでしょう。残念です。

 ようやく『21世紀本格』を読了。

島田荘司責任編集『21世紀本格』(アンソロジー)
 というわけで、以下、それぞれの作品についての簡単な感想。
 特におもしろかったものは、島田荘司ヘルター・スケルター」、瀬名秀明メンツェルのチェスプレイヤー」、麻耶雄嵩交換殺人」の3点。

響堂新神の手
 魅力的な細部がいまひとつ物語として有効にいかしきれていないという印象。例えば、語り手と娘の関係にしても、あくまで図式の提示のレベルにとどまっていて、倫理的な葛藤が物語として充分に消化しきれていない。というより、正直なところ、倫理的な葛藤というのはどう書いても予定調和的にならざるを得ないのではないかと思います。

島田荘司ヘルター・スケルター
 主人公の
皮膚が崩れ落ちる場面で、多くの島田荘司ファンが「ブラヴォー!」と叫んだことでしょう。この時点で真相がほぼバレバレになってしまうにもかかわらず、あくまで「怪異」としての描写を徹底するその筆致には皮肉ではなく感動を禁じ得ません。冒頭から結末までどこを切っても島田荘司、という恐るべき作家性を再認識しました。
 
瀬名秀明メンツェルのチェスプレイヤー
 島田荘司の「檄文」に対して、アンソロジー中で恐らく最も理想的な形で回答を具現化しているであろう作品。魅力的な細部と主題。チェスのゲーム進行と事件の謎解きを並列して語ることで高まる緊迫感。「身体性」というキーワードとその鮮やかなイメージ。これは良いです。島田荘司の作品紹介はネタバレしているので、とにかく、まず作品を読むことをお薦めします。

柄刀一百匹めの猿
「探偵」という存在の設定としては、実は結構、野心的な試みがひそんでいるように思えるんですが、それを受け入れる下地としての事件の強度が不足しているので、何ともおさまりの悪い作品になってしまっているように感じました。事件の骨格そのものは悪くないだけに、それぞれ独立した作品としてアイデアを活用したほうが良かったのでは?

氷川透AUジョー
 冒頭の「断言せざるをえない」とか「その荒唐無稽ぶり」といった言い回しを多用する文章を読んで、もしかして蓮實重彦の文体でミステリを書こうとしているのだろうかとちょっと期待したんですが、気のせいだったようです。単なる悪文でした。時代設定は21世紀半ばの近未来なんですが、その描写方法に難あり。近未来の風俗に対置されるのが読者側のごく狭い「現代」のみというのはどうなんでしょうか。

松尾詩朗原子を裁く核酸
 タイトルの含意は作中で丁寧に説明してくれるんでわかるんですが、それにしても、このタイトルはないでしょう。いや、まあ、確かに内容にふさわしいタイトルだとは思いますけど。「庶民」「知識人」といったヒエラルキーを犯人・探偵役ともに無条件に承認してしまっているあたりは作家としてあまりに素朴すぎると感じます。

麻耶雄嵩交換殺人
「〈21世紀〉とか〈科学〉とか言う前に、ミステリとしておもしろいもの書けや」という皮肉のこもった主張が感じられる直球の作品。あんたに言われたくないよ! というか、単なる天の邪鬼という気がしなくもありませんが、麻耶雄嵩ファンならずともこの作品を読むためだけにこのアンソロジーを購入しても損はしないと思われます。たぶん。

森博嗣トロイの木馬
『そして二人だけになった』のときに感じたような「あ〜あ、やっちゃった」といった印象の読後感。まっとうなサスペンス小説として終わらせてくれないのはいいとして、特に、最後の1節は蛇足だと感じました。明らかな「大文字」の存在を登場させる必要はなかったのでは? あと、この作品に限った話ではないんですが、緊迫感の高まる場面で作者が好んで使う改行を多用する文体はどう見ても文章を弛緩させていると思います。

12月26日(水)
「メフィスト」の巻末の座談会は毎号必ず読んでいるのに、舞城王太郎にかんするこちらの発言をまったく覚えていなくて、かなり驚いた(元ネタはこちら)。あの作風って、自虐だったんですかね?
 まあ、『煙か土か食い物』までデビューできなかったのが、結果的には良かったというか。しかし、過去の投稿作も、読んでみたい気がする。

 以下、最近読んだ漫画のちょっとした感想。

 島本和彦吼えろペン』3巻
恐怖の仮面編集者登場!!!!」(帯より)というわけで、仮面というよりヘルメットといったほうが適切な気もするけど、ごく普通のスーツ(でも、ないか)に身を包みつつ素顔は仮面で隠した女性編集者が登場。職務に忠実であるがゆえに手段を選ばず、「限度」とか「手加減」を知らないため、ときにかえって事態を悪化させてしまう、そのわりに小心者っぽい一面もあったりして、なかなか味のあるキャラクタ。
 相変わらずおもしろいんだけど、わりと安易に新キャラを出してくる話が増えているのが気がかり。レギュラーだけで構成されたシチュエーションに凝った話のほうが好きなので。

 三浦健太郎ベルセルク』22巻
 ここにきて、また一段と絵の説得力が増してきた。繊細さと荒々しさの絶妙なバランスが素晴らしい。
 物語としては、いよいよ完全復活のグリフィス、彼の元に集う異形の戦士たち……といった感じで、これからどんどん盛り上がっていきそうな気配。ファルネーゼとセルピコの過去については、まだ語るのは早かった気がする(もっとも、今後の展開に必要なのかもしれないけど)。

 ほったゆみ・原作/小畑健・作画『ヒカルの碁』15巻
 というわけで、「さよなら」。佐為のモノローグがぐっとくる。相変わらず物語・作画のクオリティが異常なまでに高い。
 ただ、絵にかんしていうと若干の不満もあって、P.135の2コマ目とか、P.179の2コマ目とか、ちょっと力の入れどころを間違っているような気がしなくもない。いや、まあ、好みの問題なんだろうけど。

 ヒラマツミノルアグネス仮面』1巻
 笑えるプロレス漫画。私はプロレスそのものにはまったく興味がないんだけど、いや、もう、これは本当におもしろい。徹底的に馬鹿馬鹿しく、そして、熱い。連載再開された第2部も今後が楽しみ。

 古谷実ヒミズ』2巻
 地続きの日常と非日常。正気と狂気。あらゆることが宙づりのまま曖昧に物語は進んでいく。絵のうまさと相まって、作品世界に漂う重苦しい空気が圧倒的に迫ってくる。
 恐ろしいわけじゃなく、ただただ息苦しいだけなんだけど、そこがすごい。

 森博嗣・原作/スズキユカ・作画『女王の百年密室
 こういう独特の世界観を持った作品は特に、自分の抱いていたイメージとのギャップが激しくて読んでいて楽しい。きちんと確認はしていないんだけど、台詞はほとんど原作を忠実に使用していると思われ、森博嗣の小説の台詞って漫画に向いているんだなぁと思った。絵については、キャラクタは特に不満はないし、悪夢的なイメージの描き方も非常に良かったんだけど、メカがもうちょっとうまければ、というのが唯一の不満点。原作を読んでいない人の感想を聞いてみたい。ちなみに、私の原作についての感想はこちら

12月25日(火)
 島田荘司編『21世紀本格』を読書中。私は好きな作家だけを飽きるまでひたすら追うという読書スタイルで、食わず嫌いも多く、短編小説が苦手なので、めったにアンソロジーには手を出さないんですが、これにはちょっと興味をひかれたので買ってしまいました。
 いつもであれば、好きな作家……このアンソロジーに収録されている作家でいえば麻耶雄嵩と森博嗣の作品をまっさきに読むところを、たまには編者の意向に従って冒頭から順番に読んでみようと思い、響堂新「神の手」から読みはじめました。
 ところが、これは作品のせいではなく、あくまで私自身の時間配分の問題で、思いのほか読み進むのに時間がかかり、島田荘司「ヘルター・スケルター」、瀬名秀明「メンツェルのチェスプレイヤー」まで読み終えたところで、とうとうしびれをきらして麻耶雄嵩「交換殺人」を読んでしまいました。しかし、続いて森博嗣『トロイの木馬』を読み終え、ふと巻末に書かれた一文を見て、私は愕然としました。そこにはこう書かれていたのです。

 本書、書き下ろしアンソロジー『21世紀本格』の作品収録順は、著者名の五十音順としました。(編集部)

 が〜ん!
 そういえば、手元にないんで確認はできないんですが、確か『奇想の復活』もそうだったような気がします……。迂闊でした。
 感想は全編読了してからまとめてアップする予定です。

 ところで、こちらを読むと、霧舎巧も「月の光の輝く夜に」という作品を寄せていたようです。「
血友病を扱っているため、できとは無関係に出版のコードにひっかかり」収録されなかったというのは、具体的にはどういうことなんでしょう? ちょっと気になります。

12月21日(金)
 サン電子Slipper Xを購入。データ通信カード用のUSB変換アダプタです。これでようやくMac OS XでAir H"カードが使えるようになります。
 旧型であるSlipper Uとどこが違うのかというと、CDC(Communication Device Class)に準拠しているので、比較的新しいOSであればドライバが不要であるという点。Slipper Uではドライバが必須だったんですが、Mac OS X用のドライバがありませんでした(噂によると、OSの仕様の問題でドライバの開発が困難だとか)。iBookはAir H"カードさえ使えればMac OS Xに移行しようと思っていたので、これで問題点はクリアされました。
 そもそも、なぜそんなアダプタが必要なのかというと、iBookにPCカードスロットがないからなのですが、Mac OS X 10.1.2になってなお、OSがデータ通信カードに対応していないという信じられない事実がありまして、例えPCカードスロットのついたPower Book G4だったとしても、現時点ではMac OS XでAir H"カードを使うためにはSlipper Xに頼るしかないという現実が……。わははは。

 で、以下まったくの余談なんですが、ゴノレゴの新作で、ゴノレゴがiBookからどうやって2ちゃんねるにアクセスしているのかを考えると、なかなか難しい問題だったりします。データ通信カードをPCカードスロットにさすというのは上記の通り不可能ですし、iBookのUSBポートは本体左側にあるんですが、タクシーのシーンで見ても、USB経由で携帯なりPHSなりデータ通信カードを接続しているとは思えません。考えられるのは、iBookにはAirPortカード(Mac用の無線LANカード。日本国内だとAirMacなんですが、舞台がニューヨークなので)をさしてあり(キーボードの下に内蔵できるようになっています)、画面の外に無線LANのアクセスポイントがある、という可能性でしょうか。しかし、ホテルの部屋はとにかく、タクシーの中というのはどう考えても無理な気がします。う〜む。
 ……て、恐ろしくどうでもいいことですね。


12月19日(水)
 家庭用ゲーム板にあった『ICO』スレッドがいつのまにやら難民板に移動していた。
 あと、しばらく見ないうちにネットゲーム板のPSOスレッドがPart874に! もはや単なる雑談スレと化しているようですが……。

ジャック・ケッチャムロード・キル』★★★
 う〜ん。はじめに読んだ3冊(『老人と犬』『オフシーズン』『隣の家の少女』)はそれぞれタイプが違う作品にもかかわらずどれもおもしろかったんだけど、その次に読んだ『地下室の箱』は何が書きたいのかよくわからずまったくといっていいほどおもしろくなかったし、この作品もそこまで悪い印象は持たなかったものの、もっとおもしろくできたんじゃないかという物足りなさを残す読後感だった。
 いや、まあ、やっぱりヘンな小説ではあるんだけど。
 夫のハロルドに虐待され、離婚した後もその影に怯えるキャロルは、恋人のリーとともにハロルドを殺害する。その現場を偶然目撃した男がウェインだった。ウェインには殺人願望があり、日頃から身近な人間の些細な「罪」を手帳に書き記しては、復讐の機会をうかがっていた。殺人を目撃にしたことにより、ウェインの暴走がはじまる。
 扱っている題材を無視して物語の構造だけで乱暴に分類すれば『オフシーズン』や『地下室の箱』と同じ「戦うヒロインもの」で、なおかつ三人称多視点の叙述形式を採用しているという点でも共通している。『オフシーズン』のときはあまり気にならなかったんだけど、どうも視点の移動がうまく機能していなくて、どちらかというと意図せずにサスペンスを殺してしまう方向に作用している。
 それから、これはウェインの母親の登場シーンに特に顕著なように、人物の異常性を描写するにあたって過剰なレトリックや周囲の反応による間接的な描写を多様する反面、その人物の言動そのものからは書かれているほどの異常性を感じない、というのも物足りなさをおぼえる原因のひとつだった。
 それまで人を殺したことのない「殺人鬼」が、2人の善良な殺人者を引き連れて「殺人ドライブ」に出かける、という冒頭の展開にはちょっと目を引かれたし、終盤のウェインの度をはずした暴走ぶりには目をみはりもしたけど、結局、最後まで何となく冷めた気分のまま読み終えてしまった。

12月16日(日)
 久々のまったく予定のない休日。というわけで、購入したまま放置していたゲームで遊ぶ。

 SCEICO』(PS2)
 角のはえた少年と、不思議な力を秘めた少女の物語。少年は少女の手を握り、棒きれを武器に少女を連れ去ろうとする影と戦い、城から脱出しようとする。
 R1ボタンで手をつなぐ。そのまま移動させると、手をひいて歩き出す。おまけに武器が棒きれ! 舞台となる城の美しさ。光と影。人工の建造物と自然。素晴らしい。言うことありません。
 ジャンルはアクション・アドベンチャー。基本的には、「謎解き」と「影との戦い」を繰り返しつつ先に進むという構成。謎解きのポイントは少女の存在で、主人公自身はわりと容易に先に進めるんだけど、どうやって少女を連れて行くかという点で頭を悩ませることになる。同時に少女が特殊アイテムっぽい存在として位置づけられていて、少女にしか開けられない扉があったり、仕掛けを動かすために少女が不可欠だったりする。また、セーブをするためには2人そろってソファに座らなくてはならない。まあ、基本的に少女は「足手まとい」なので、短気な人は腹が立つかもしれない。でも、「女の子が手を引かれて守られるだけなのはいかがなものか」なんて堅苦しいことは言いっこなしで、「勇敢な男の子」の気分を味わいつつプレイするのが吉。
 良いゲームなんだけど、あんまり売れてないらしい……。

 バンダイカプコン機動戦士ガンダム 連邦 VS ジオン DX』(PS2)
 はじめにアーケードモードをやって、なんだこりゃ、よくわからん、これならDCの『起動戦士ガンダム コロニーの落ちた地で……』のほうがよっぽどおもしろいぞ! と思ったんですが、ミッションモードをやったら見事にはまってしまった。おもしろい〜。1ミッションが短くてさくさく遊べるのが良いです。とりあえずジオン軍でミッション20までクリア。

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